年間800万㌧のプラスチックごみが海に捨てられ、2050年の海は魚よりプラスチックごみの方が多くなるという危機的状況を重く見て、ECOALFでは海底から回収したペットボトルや不要になった魚網を再生させた素材で衣類を開発している。

10年間のブランドの歴史の中で、すでに500㌧もの海洋ごみを回収したという。その一部を再生させ、しかも、素材開発から取り組んでいるので、例えば再生した魚網ナイロンから作られたスニーカーは、1万2100円と、極めて低価格で提供されている。地球にも消費者にも配慮したプロジェクトなのだ。

「このままで行くと、我々は地球に住めなくなるかもしれない。それほど、環境破壊は深刻で、待った無しの状況。今アクションを起こして、消費者も企業も政府も一丸となって取り組むべき」とゴジェネーチェ氏は語る。
そんな気持ちを表したキャッチコピーが「Becausethere is no planet B」(第2の地球はないのだから)。Tシャツに飾られたこの文字が意味するところは、ファッションステイトメントを超えて、もはや、ソーシャルステイトメントとなっている。
最後に、このECOALFが日本に導入されたことは素晴らしいことだが、ファッショントレンドはいつの時代も、輸入から始まるという日本のアパレル業界の流れが、サステナブルにおいても変わらないのだと正直感じた。エコやエシカルにおいて、江戸時代など日本はもともと先進国であったはず。今後はECOALFの企画において、日本のサステナブルな知恵、美意識も生かすと聞いているので、国を超えた地球規模のサステナブル発信を期待したい。
生駒芳子(いこま・よしこ)
雑誌VOGUE、ELLEを経て、2004年よりmarie claireの編集長を務める。08年10月に独立後、ラグジュアリー・ファッションからエコライフ、社会貢献、伝統工芸の開発事業まで幅広いトピックを追うジャーナリスト・プロデューサーとして活躍。日本エシカル推進協議会副会長。