海ごみ問題に貢献、スペイン発ブランドECOALF

年間800万㌧のプラスチックごみが海に捨てられ、2050年の海は魚よりプラスチックごみの方が多くなるという危機的状況を重く見て、ECOALFでは海底から回収したペットボトルや不要になった魚網を再生させた素材で衣類を開発している。

1 海洋プラスチックなどのリサイクル素材でつくられたスニーカーも多数販売 2 ペットボトルや漁網などプロダクトの素材となる廃材も展示 3 ペットボトルタワーのインスタレーション(全て「ECOALF 渋谷」)

10年間のブランドの歴史の中で、すでに500㌧もの海洋ごみを回収したという。その一部を再生させ、しかも、素材開発から取り組んでいるので、例えば再生した魚網ナイロンから作られたスニーカーは、1万2100円と、極めて低価格で提供されている。地球にも消費者にも配慮したプロジェクトなのだ。

4 ゴミは有効活用できるというメッセージ「Trash is the GOOD NEWS」 5 ペットボトルからリサイクルしたメンズウェア 6 漁網ナイロンを再生したウィメンズのセットアップ 7 ペットボトルから生まれたバックパック 8 ブランドメッセージが書かれたプリントスウェット(15400円) 9 スニーカーのアッパー素材には全てリサイクル素材が使われる 10 タイヤをリサイクルしたビーチサンダル(4950円)

「このままで行くと、我々は地球に住めなくなるかもしれない。それほど、環境破壊は深刻で、待った無しの状況。今アクションを起こして、消費者も企業も政府も一丸となって取り組むべき」とゴジェネーチェ氏は語る。

そんな気持ちを表したキャッチコピーが「Becausethere is no planet B」(第2の地球はないのだから)。Tシャツに飾られたこの文字が意味するところは、ファッションステイトメントを超えて、もはや、ソーシャルステイトメントとなっている。

サステナX

最後に、このECOALFが日本に導入されたことは素晴らしいことだが、ファッショントレンドはいつの時代も、輸入から始まるという日本のアパレル業界の流れが、サステナブルにおいても変わらないのだと正直感じた。エコやエシカルにおいて、江戸時代など日本はもともと先進国であったはず。今後はECOALFの企画において、日本のサステナブルな知恵、美意識も生かすと聞いているので、国を超えた地球規模のサステナブル発信を期待したい。

生駒芳子(いこま・よしこ)
雑誌VOGUE、ELLEを経て、2004年よりmarie claireの編集長を務める。08年10月に独立後、ラグジュアリー・ファッションからエコライフ、社会貢献、伝統工芸の開発事業まで幅広いトピックを追うジャーナリスト・プロデューサーとして活躍。日本エシカル推進協議会副会長。

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生駒 芳子(ファッションジャーナリスト)

ファッションジャーナリスト、アート・プロデューサー。VOGUE、ELLEの副編集長を経て2008年より「マリ・クレール」の編集長を務め、独立。ファッション、アート、デザインから、社会貢献、クール・ジャパンまで、カルチャーとエシカルを軸とした新世代のライフスタイルを提案。地場産業や伝統産業の開発事業、地域開発など、地域創生に数多く取り組む。2018年より、伝統工芸をベースにしたファッションとジュエリーのブランド「HIRUME」をスタートさせる。 アンダーグラウンド(モデル冨永愛個人事務所)代表、三重テラスクリエイティブ・ディレクター、日本エシカル推進協議会副会長、内閣府・消費者委員会委員、江戸東京きらり委員、東京2020ブランドアドバイザリーグループ委員、WEF(Women's Empowerment in Fashion)理事、認定 NPO 法人サービスグラント理事など。 連載:エシカルファッションの旗手たち

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