デジタルガバナンス・コードとサステナビリティ経営

一方、我が国での本格的なDXの取組は遅れており、レガシーシステムがいまだ足かせとなっている企業や、ビジネスモデルの変革に取り組むものの、変革の入り口で足踏みしている企業も多いのが実状です。

こういった状況を打破すべく、政府は2019年の臨時国会での情報処理促進法の改正(2020年5月施行)を踏まえ、企業のデジタル面での経営改革に向けた様々な制度・仕組み(DX認定、DX格付けなど)の構築に取り組んでおり、その要となるのがデジタルガバナンス・コードです。

本コードは日本企業のDXの取組における指針となるものですが、ここで重要なことは「そもそも何のためのDXなのか」という点です。

DXとは、デジタル化によるビジネスモデルの変革を通して新しい価値創造に繋げていくものです。

Society5.0の時代、企業は従来型の短期的な利益創出に留まるのではなく、メガトレンド(SDGs含む)の理解と分析を踏まえたビジョンを描き、ビジョン実現に向けた経済価値と社会価値を両立するビジネスモデルを作り上げ、戦略に落とし込み、ステークホルダーとの協働を通して実行することで、持続的な成長と社会の発展に貢献する長期視点の経営(サステナビリティ経営)に取り組むことが肝要です。

そのためにデジタルの力を活用するという発想と行動の転換こそがDXと言えるのではないでしょうか。

デジタルガバナンス・コードが、デジタルの力により日本企業のサステナビリティ経営を強化・促進するための指針として組織的かつ戦略的に活用されることを期待します。

遠藤 直見(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家)

遠藤 直見(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家)

東北大学理学部数学科卒。NECでソフトウェア開発、品質企画・推進部門を経て、CSR/サステナビリティ推進業務全般を担当。国際社会経済研究所(NECのシンクタンク系グループ企業)の主幹研究員としてサステナビリティ経営の調査・研究に従事。現在はフリーランスのサステナビリティ経営研究家として「日本企業の持続可能な経営のあるべき姿」についての調査・研究に従事。オルタナ編集委員

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