英雄のいない国

【連載】オルタナティブの風 

この国が君のために何を為し得るかを問うことなかれ。君がこの国のために何を為し得るかを問いたまえ。このケネディの言葉のごとく、民主主義とは、国民が選挙を通じて政治家や政党を選び、その選択によって民意を示すことではない。民主主義とは、本来、国民自らが国づくりに参加することに他ならない。

その本来の意味が見失われてしまったのは、永く続いた「代議制民主主義」の下で、いつのまにか、我々国民は、選挙で民意を表明する立場であり、政治家と官僚は、選挙で示された民意に従って税金を使い、この国の運営を任される立場であるという固定観念が生まれてしまったからである。

しかし、そうした「お任せ民主主義」がもたらしたものは、慢性的に進む官僚機構や行政機構の肥大化であり、歯止めの効かない税金の無駄遣いや不透明な行政、不明朗な利権構造や政治家と官僚の不正や腐敗であろう。

有料会員限定コンテンツ

こちらのコンテンツをご覧いただくには

有料会員登録が必要です。

田坂 広志

田坂 広志

21世紀アカデメイア学長、多摩大学大学院名誉教授、田坂塾塾長。81年、東京大学大学院修了。工学博士。87年、米国パテル記念研究所研究員。90年、日本総合研究所の設立に参画。取締役を務める。00年、多摩大学大学院教授に就任。同年シンクタンク・ソフィアバンクを設立。08年、世界経済フォーラム(ダボス会議)のGlobal Agenda Councilメンバーに就任。11年東日本大震災に伴い内閣官房参与を務める。13年、全国から8300名の経営者やリーダーが集まり「7つの知性」を学ぶ場、「田坂塾」を開塾。著書は100冊余。

執筆記事一覧
キーワード:

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..