コロナにみる「その場しのぎ」の限界

【連載】藻谷浩介の『ファクトで考えよう』(2)

「何とかこの場をしのぎたい」というのは、生き物の本能だ。だからといって人間の場合、「その場しのぎ」は禁物である。

今だけ、この場だけ、受けている攻撃や指弾を、目の前の敵や糾弾者から、はぐらかし通すことでしのぐ。さらには、問題の本体ではなく、問題の指摘の方を封じようとする。

前首相とその周辺が連発したのも記憶に新しいこのやり方を、「その場しのぎ」という。しかし、しのぐこと自体が自己目的化する結果、しのぐほど問題の根は放置され、再発が繰り返される。

新型コロナウイルス問題の場合はどうか。政治家やマスコミのみならず、専門家の中にまでいる「ゼロコロナ」論者は、問題の根本解決には、ウイルス根絶あるのみと考える。「経済も命も」と中途半端なことを言って、いつまでその場しのぎを続けるのかと。だが実は、ゼロコロナ状態の方が、その場しのぎなのではないか。

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藻谷 浩介(日本総合研究所主席研究員/オルタナ客員論説委員)

山口県生まれの56歳。平成合併前の全3,200市町村、海外114ヶ国を自費で訪問し,地域特性を多面的に把握。地域振興、人口成熟問題、観光振興などに関し研究・著作・講演を行う。2012年より現職。著書に『デフレの正体』、『里山資本主義』 (KADOKAWA)、完本・しなやかな日本列島のつくりかた(新潮社)など。近著に『進化する里山資本主義』(Japan Times)、『世界まちかど地政学 Next』(文藝春秋)。 写真:青木優佳【連載】藻谷浩介の『ファクト』で考えよう

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キーワード: #新型コロナ

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