多摩ニュータウンの公園運営、住民の居場所を生む

グッドガバナンス認証団体をめぐる

1999年に法人化し、東京・八王子の多摩ニュータウンで活動するNPOフュージョン長池は、地域を保全・育成して後世につなぐために、都市公園の管理・運営を通じて環境保全活動や子どもたちへの環境教育を行う。同時に、「地域協働型の公園管理・運営」で人々の居場所づくりや自己実現を目指す。田所喬理事長は、「個人のための組織」であるという意識を持つことが、より良い地域づくりにつながると話す。(聞き手・村上 佳央=非営利評価組織センター、松田ゆきの)

老若男女が集う多摩ニュータウンにある長池公園(提供:フュージョン長池、以下同)

――設立のきっかけを教えてください。

きっかけは阪神淡路大震災でした。設立者の富永一夫前理事長は、「有事が起きたときに、自分たちが住んでいる場所で人々が助け合うことは難しい」と考え、40歳後半まで務めた会社を辞職し、地域の人たちの暮らしを支援する事業を始めました。当時の目的は今も変わらず、地域の人たちと協働で取り組む活動を通じて地域づくりに貢献しています。

公園管理・運営に関する活動の1つとして、ボランティアの人たちに公園の見回りをお願いしています。公園の見回りといっても、好きな時に参加する人、犬と散歩するついでに行う人、家の近所を中心に活動する人など、ボランティアに参加する方法も多岐にわたります。ボランティアはやりたくてやるものなので、私たちから見回りの地域や時間を強要することはありません。

――ボランティアの自主性を大切にしているのですね。

職員にもやりたくないことはやらせません。これは決して単なるわがままではなく、職員同士で補完する関係をつくる上でとても大切なことです。たとえば、家庭の事情で夜に公園の見回りができない職員がいます。その時は、夜に見回りができない人に別の仕事を依頼し、代わりに参加できる人が回ります。職員それぞれの状況、大事にしていること、私たちがするべきことを見極めた上で、仕事を強要せずに相手の考えを尊重するようにしています。

なぜなら組織の中で尊重が広がれば、地域の人と対峙するときにも、相手を尊重する気持ちが生まれ、より良い地域づくりにつながるからです。ですので、私たちが活動する際は、「組織のための個人でなく、個人のための組織」であることを目指しています。

――なぜ地域の人とのつながりを大切にするのですか。

活動の中で地域の人たちの幸せを生み出すことにこだわっているからです。コミュニティーの最小単位は家族です。コミュニティーは家族から広がるので、家族が幸せに生きる町を作らないと広がりは生まれません。そこで、まずは家族が住む地域に根差した活動をして、地域の暮らしを支援することが重要です。

――2020年12月には「キャンドルナイト」を開催しましたね。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #NPO

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