カーボンプライシングは企業にどんな影響を及ぼすか

オルタナは2月22日、第2回SBLセミナーを開催しました。第1部のテーマは今年に入り、議論が本格的に始まった二酸化炭素の排出量に応じ価格を付ける「カーボンプライシング」です。(山口勉)

オンラインで実施して、約70人が聴講した

ゲストには、環境省環境経済課・課長補佐の安田將人さんをお迎えしました。さらに第2部ではオルタナ63号でSX(サステナブル・トランスフォーメーション)の代表例として紹介した花王とライオンが協働で行う、循環型経済(サーキュラーエコノミー)へのシフトを目指す取り組みを紹介しました。

ゲストにはシャンプーや洗剤などの使用済み詰め替えパックの店頭回収を担当するライオンの小和田みどり部長、花王の瀬戸啓二マネジャーをお迎えしました。

脱炭素社会の構築に向けた「カーボンプライシング」と循環型経済(サーキュラーエコノミー)。一見無関係のように見えて実はコインの面と裏のようにつながっています。ではそれぞれどういうもので、どうつながっているのでしょうか。

第1部「カーボンプライシングはビジネスにどんな影響を与えるのか」では、カーボンプライシングの説明から始まり、世界のカーボンプライシングの進み具合や日本の対応状況、今後の課題などについて、環境省環境経済課・課長補佐の安田將人さんからお話いただきました。

カーボンプライシングには炭素税などの明示的カーボンプライシングとエネルギー課税などの暗示的炭素価格の2種類がある

脱炭素社会に向けた取り組みであるカーボンプライシングは、個人や法人が温室効果ガスのコストを意識して行動するよう、炭素の排出に対して価格を付ける経済的手法の一つです。脱炭素化に向けた投資・消費に資する価格情報を個人や法人に向けて発信することで、脱炭素化への取り組みを加速していきます。

事業者にCO2排出量1トン当たりの費用を負担(炭素比例)させるカーボンプライシングは、 価格固定型の炭素税と、数量固定型の排出量取引制度の2つに大別されます。

世界で初めて炭素税を導入した国はフィンランドで、1990年に遡ります。日本でも2010年頃にカーボンオフセットの取り組みが活発化した時期がありましたが、導入はできませんでした。昨年10月に菅首相が2050年カーボン実質ゼロ宣言をしたことで、一気に流れが脱炭素に変わりました。その目標を達成するためにも、カーボンプライシングは重要な施策になってきます。

環境省と経産省で本格的な導入の検討が始まり、夏までに中間整理、年内にかけてとりまとめが行われる見込みです。

■花王とライオン、課題解決へ協業

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山口 勉(オルタナ副編集長)

大手IT企業や制作会社で販促・ウェブマーケティングに携わった後独立。オルタナライターを経て2021年10月から現職。2008年から3年間自転車活用を推進するNPO法人グリーンペダル(現在は解散)で事務局長/理事を務める。米国留学中に写真を学びフォトグラファーとしても活動する。 執筆記事一覧

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