再生可能エネルギーは「再生可能」か

【連載】「森を守れ」が森を殺す

激増する気象災害に、世界はようやく二酸化炭素の削減に本気になってきたようだ。日本でも「再生可能エネルギー」の拡大に期待が集まる。だが、その中身は残念ながら怪しい。

なかでも急速に数を増やしているバイオマス発電は、本当に再生可能なのか。バイオマス発電は、林業で木材を搬出する際に出る枝条や山に残す間伐材、それに製材時に出る端材や建築廃材を燃料にする発想だった。ところが現実は、燃やすために木を伐っている。

なぜなら燃料が足りないからだ。未利用木材(FIT価格が32円)を燃料にする5MW級の発電所では、年間6万㌧、約10万立方㍍の木材が必要なのだ。とても集まらないから山の木を全部伐って、建材になる木も燃料にしてしまう。

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田中 淳夫(森林ジャーナリスト)

森林ジャーナリスト。1959年生まれ。主に森林・林業・山村をテーマに執筆活動を続ける。著書に『森と日本人の1500年』(平凡社新書)『鹿と日本人』(築地書館)『森は怪しいワンダーランド』『絶望の林業』(ともに新泉社)『獣害列島』(イースト新書)などがある。

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