欧州委員会は「EUタクソノミー」に原子力と天然ガスでの発電を含める方針を示し、夏までの法制化に動く。原発は温室効果ガスを排出しないが、使用済み核燃料の処分場の問題や、ロシアによるウクライナ原発の占拠など、リスクは大きい。原発は本当に「クリーン」なのか。(オルタナS編集長=池田 真隆)
欧州委員会は2月2日、EUタクソノミーの委任規則に、原子力と天然ガスによる発電を条件付きで含める方針を発表した。EUタクソノミーとは、EUが持続可能な社会・経済につながる経済活動だと認定したものに与える「基準」だ。
EUタクソノミーには1)気候変動の緩和 2)気候変動への対応 3)水と海洋資源の持続可能な利用と保全 4)循環型経済への移行 5)環境汚染の防止と抑制 6)生物多様性と生態系の保全・回復ーーという6つの環境目標がある。
タクソノミーはEUだけではなく、世界各国の脱炭素目標や各企業のカーボンニュートラル目標の設定、そのための温室効果ガス排出量の算定に大きな影響を与える。
■EUの法案のタイムリミットは2022年7月末
EUタクソノミーに選ばれた経済活動は、EUから「クリーン」だと「お墨付き」を得たことになる。2050年のカーボンニュートラルの達成に向けて、投資判断の基準を明確化し、グリーンな投資を促すことが狙いだ。
タクソノミーを決定する法案(委任法令))は、EU理事会と欧州議会で議論する。タイムリミットは2022年7月末だ。法案はどちらの機関も否決しない限り成立し、2023年1月1日から「施行」となる。
脱原発を宣言したドイツやオーストリアのほか一部の機関投資家も反発するが、否決するにはEU理事会では20カ国以上、欧州議会では半数以上の議員の反対票が必要で、そのハードルは高い。
原発は二酸化炭素を排出しないが、最大の問題は「安全性」にある。風水害だけでなく、国際情勢が不安定な社会では、戦争時に敵国から狙われるリスクもある。さらに使用済み核燃料の処分場の問題もある。
■EUはなぜタクソノミーに原発を入れたのか