COP26演説全文
英グラスゴーでCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)が開幕した。岸田文雄首相は11月2日、首脳級会合で「化石火力をアンモニア・水素などのゼロエミ火力に転換するため、1億ドル規模の先導的な事業を展開する」「(途上国の温暖化対策支援として)600億ドル規模の支援に加え、新たに5年間で最大100億ドルの追加支援を行う用意がある」といった声明を発表した。(オルタナ副編集長=吉田広子)
今回のCOP26の主なポイントは、
1.各国が1.5度目標に整合した削減目標に引き上げられるか
2.削減目標を実現するための政策・施策が提出されるか(石炭火力発電の廃止など)
3.第6条をはじめとしたルール作りで合意できるか(市場メカニズムなど)
――だ。
気温上昇を1.5度に抑えるためには、世界全体で「2050年温室効果ガス(GHG)実質ゼロ」、その中間目標として「2030年45% 削減(2010年比)」を実現する必要がある。だが、このままでは目標を達成するのは難しく、どこまで各国が目標を引き上げられるかが争点になる。
日本はCOP26直前に新たなNDC(国別削減目標)として「2030年46%削減(2013年比)」を国連に提出している。「石炭火力発電の廃止」の要請に対して、日本がどう交渉していくかも注目される。
グテレス国連事務総長は11月1日、「このままでは世界の平均気温は産業革命以前に比べて2.7度上昇してしまう。私たちは『1.5度目標』を維持しなければならない」と表明。「COP26の失敗は、開発途上国や小さな島国にとっての『死刑宣告』だ。先進国と新興経済国に、経済の脱炭素化と石炭の段階的廃止を加速するための財政的および技術的条件を作り出すことを要請する」と危機感を示した。
11月1~2日には首脳級会合が開かれ、各国代表が演説を行った。2日に登壇した岸田首相の演説要旨は次の通り。
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(英語でホストに感謝を述べた後、日本語で演説)
気候変動という人類共通の課題に日本は総力を挙げて取り組んでまいります。その決意を皆さんに伝えるためにこのグラスゴーの地に駆け付けてまいりました。
パリ協定の採択から6年、当時ローラン・ファビウス議長のもと、決意を新たにした、あの瞬間を我々は忘れてはなりません。
「どうしてもこれを文雄に渡したい」、そう言って友人であるローランがくれた木槌を、気候変動問題に真摯に向き合う覚悟の証として、今でも大切に持っています。
目標の達成に向けこの10年が勝負です。野心をもってともに全力を尽くしていこうではありませんか。