シン・エナジー 乾 正博社長インタビュー

日本にとって、「2050年カーボンニュートラル」の目標達成以上に重要なのが「エネルギーの地産地消」だ。日本のエネルギー自給率はわずか11.8%で、約20兆円もの国富が海外に流出する。再エネのエンジニアリング会社シン・エナジー(神戸市)は、再エネを通じて地域経済を活性化したいと意気込む。 (聞き手・オルタナS編集長=池田 真隆)

地域資源を活用した再エネ開発を手掛けるシン・エナジーの乾 正博社長 写真・山口 勉

─シン・エナジーは再生可能エネルギーのエンジニアリング(企画・設計・施工)を手掛けていますが、「その土地由来の資源を有効活用したい」と言っていますね。

日本のエネルギー自給率は11.8%(2018年※)とOECD諸国の中では、かなり低いです。2010年の自給率は20・3%だったので、10年しないうちに約半分に減りました。東日本大震災以降、原発が止まり、石炭やLNGの輸入が増えたのが原因です。エネルギー資源の輸入先は政治情勢が不安定な中東が多く、地政学的なリスクを抱えています。世界の資源に依存するのではなく、地域の資源を生かしたエネルギー自給圏をつくることが重要です。

■エネルギーは「第一次産業」

─内閣官房の「地域脱炭素ロードマップ」でも「エネルギーの地産地消」を強調しています。そのカギは何でしょうか。

日本では電力は第三次産業に分類されていますが、再生可能エネルギーは、地域の自然資源を活用するという点で「一次産業」と考えて活動することが重要です。

2050年までにカーボン(温室効果ガス)排出を実質ゼロにすると表明した自治体は444カ所に上ります(2021年8月31日時点)。自治体にとって、地域でエネルギーの循環圏をつくることが喫緊の課題です。

当社はそこをサポートしていきたいのです。再生可能エネルギーにはいくつか種類があるので、その土地固有な特徴や気候条件に最適なエネルギーを選んでいます。例えば、一般的に太陽光発電を実装するときの注意点としては、景観や土砂災害の問題がありますが、当社ではその観点だけでなく、「地域資源の価値が上がるか」という点でも考慮します。

農地の上にソーラーパネルを設置する「営農型太陽光発電」が注目されていますが、「農主電従」で進めることが重要でしょう。例えば、温暖化の影響もあり、米が白濁する高温障害があります。その対策を兼ねた太陽光発電システムなど農主目線が持続可能な視点と考えます。

バイオマス発電は林業再生に一役買います。日本は国土面積の7割を森林が覆っていますが、木は老齢化するとCO2の吸収量も少なくなるので、適切な伐採が必要です。そこで、バイオマス発電が解決策になるのです。

いま、バイオマス発電に関する燃料(木質ペレット、パーム椰子殻)は輸入に依存しています。木質ペレットの輸入量は2012年には約7.2万トンでしたが、2019年には20倍以上増えて約161万トンでした。現状では、ペレットの多くをカナダから輸入していますが、ペレット輸送に掛かるCO2排出量を考えると、バイオマス発電はカーボンニュートラルとは言えません。