【書評】『地球に住めなくなる日 「気候崩壊」の避けられない真実』(デイビッド・ウォレス・ウェルズ 著、 藤井留美訳)

すぐそこに来ている(ひょっとするともう来ているかもしれない)地球社会の未来像を脅威―恐怖、破滅、荒廃、崩壊―として本書は余すことなく描き警鐘を鳴らす。

すぐそこに来ている「気候崩壊」という脅威を警鐘

メインシナリオは明快だ。二酸化炭素(CO2)濃度が上がり地球の平均気温も上昇する。この地球温暖化による気候変動に自然界がいちはやく反応する。熱波・旱魃・森林火災・洪水・巨大ハリケーン・水不足・氷床や永久凍土の融解・海面水位上昇・海洋生物死滅など枚挙に暇ない。

人間社会も呼応する。食糧危機・貧困・飢餓・感染症・移民・紛争・犯罪・家庭内暴力・女性虐待など。メインシナリオから連鎖するこれらサブシナリオの数々を本書は克明に記している。

容赦ない描写、突きつけられる現実につい目をそらし、受け入れを拒み、あるいは違う解釈をあてがいがちだ。

読み手が味わうこの追い込まれ感は、細密な粒度での描写のせいだろう。膨大かつ詳細な観測・分析データや知見、事例に加え、2100年までの年単位での区切りと0℃~5℃を中心にした平均気温上昇の範囲が織りなす格子のマス目の粒度で、サブシナリオの像が浮かび上がる。

■科学的なエビデンスを伴うだけにサブシナリオの像にはリアリティが

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