「CO2の46%削減」は高いか低いか(2) 憤るNGO

気候変動対策について話し合うPeaceful climate strike(以下PCS)を主宰している気候アクティビスト/モデルの小野りりあんさんとDEPT代表/アクティビストのeriさんは、日本政府が22日に発表した「30年度までに温室効果ガス46%減(13年度比)」について、「46%削減では未来は守れない」と言い切る。(オルタナS編集長=池田 真隆)

■「46%削減では私たちの未来は守れません」

菅首相が発表した目標数値に対して、PCSとしては、「強い憤りを感じている」とコメントを出した。続けて文書では日本政府に目標数値の再考を促す。「気候変動の原因を一番多くつくってきた国の一つである日本の削減目標が、なぜ、全世界全ての国が最低でも目指すべきパリ協定の1.5℃目標に整合しなくて良いのでしょう?」。

さらに、「なぜ46%なのか」と設定した目標数値の根拠について説明がないことも指摘した。PCSでは、世界の気温上昇を1.5度に抑えるために日本が果たすべき削減目標は「60%以上」と主張する。

なお、欧州連合では早くに2030年55%削減を掲げ、米バイデン政権も削減目標を50%に引き上げると見られている。

■小野りりあんさんのコメント

46%という数字は、人が生き続けられる未来を守れません。私たちの生活を脅かす数字です。

現実味があって日本が掲げられる数字は62%。しかも2030年までに石炭も原発もゼロは実現可能です。今年はG7やG20、COP26と日本は何度も世界相手に気候変動対策を提示しなければならない機会があります。

科学に基づいた社会へと変化していくよう声を伝え続けていきましょう。道のりはまだ遠いけれど本当の力は「人々」にあります。生き続けられる未来のためにまずは、気候危機を止めましょう。

■eriさんのコメント

「最低でもパリ協定の1.5度目標」にも全く整合せず、国民の安全を第一に考えられていない今回の46%という数字にただただ憤りを感じます。私たちがこれから生きられるか、生きられないかという切実な問題に対しての最大限の数字とは到底思えず、国民に対しての誠実性を全く感じられません。私たちすべての人へ安全な日本をください。

菅首相は「世界の脱炭素をリードしていく」と発言していましたが、今回の削減目標はそれがポーズだったことを表しているのではないのでしょうか。

そのために民主的に国民の意見をしっかりと聞き、Co2排出世界第五位として責任ある削減目標、62%以上引き上げ、高効率も含めたすべての石炭火力発電、未来の子供たちに多大な負担と危険性を残す原発のゼロを改めて強く求めます。生きられる未来をください。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナS編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナS編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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キーワード: #パリ協定#脱炭素

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