金融庁と東京証券取引所は6月11日、2021年改訂版のコーポレートガバナンス・コードを公開し、同日に施行した。5つの原則(補充原則)を新設し、14の原則(補充原則)に追加・修正を加え、78原則から「83原則」に増やした。主な改訂のポイントは「取締役会の機能発揮」「中核人材の多様化」「サステナビリティ」などだ。(オルタナS編集長=池田 真隆)

2021年の改訂版では78原則から83原則に増えた

コーポレートガバナンス・コードは2018年6月にも改訂しており、今回の改訂は3年ぶり。5つの基本原則のもとに31の各論原則があり、補充原則が42あった。今回の改訂では補充原則が5つ増えて、合計で83原則になった。

新設した5つの補充原則は下記の通り。
2−4① 女性の活躍推進を含む社内の多様性の確保 ・中核人材(管理職層)の多様化と開示
3−1③ 情報開示の充実 ・サステナビリティへの取り組み、人的資本への投資の開示。
・TCFDの枠組みでの気候変動に対する方針と影響の開示。(P)
4−2② 取締役会の役割・責務(2) ・サステナビリティへの取組み、人的資本への投資に対する取締役会の責務。
4−8③ 独立社外取締役の有効な活用 ・支配株主がいる場合、独立社外取締役過半数。(P)
・支配株主がいる場合、独立社外取締役1/3以上。
・もしくは、独立社外取締役を含む特別委員会の設置。
5−2① 経営戦略や経営計画の策定・公表 ・事業ポートフォリオの策定と開示

東証は改訂のポイントとして下記の3点を挙げた。


1. 取締役会の機能発揮
■プライム市場上場企業において、独立社外取締役を3分の1以上選任(必要な場合には、過半数の選任の検討を慫慂)
■指名委員会・報酬委員会の設置(プライム市場上場企業は、独立社外取締役を委員会の過半数選任)
■経営戦略に照らして取締役会が備えるべきスキル(知識・経験・能力)と、各取締役のスキルとの対応関係の公表
■他社での経営経験を有する経営人材の独立社外取締役への選任

2. 企業の中核人材における多様性の確保
■管理職における多様性の確保(女性・外国人・中途採用者の登用)についての考え方と測定可能な自主目標の設定
■多様性の確保に向けた人材育成方針・社内環境整備方針をその実施状況とあわせて公表

3. サステナビリティを巡る課題への取組み
■プライム市場上場企業において、TCFD 又はそれと同等の国際的枠組みに基づく気候変動開示の質と量を充実
■サステナビリティについて基本的な方針を策定し自社の取組みを開示

上記の3点以外のポイントとして、「プライム市場に上場する子会社においては、独立社外取締役を過半数選任又は利益相反管理のための委員会の設置」、「プライム市場上場企業において、議決権電子行使プラットフォーム利用と英文開示の促進」を求めることも公表した。

日本にはコーポレートガバナンスに特化した明確なルールがなかったため、金融庁と東京証券取引所は2015年6月、「コーポレートガバナンス・コード 」の運用を開始した。これは投資家向けの「スチュワードシップコード」(2014年)と対をなすものとして位置付けられてきた。

コーポレートガバナンス・コードの特徴は、「コンプライ・オア・エクスプレイン」(順守せよ、さもなくば説明せよ)。コード自体の順守を義務付けていない。順守するかしないかについては企業側が選ぶことができる。だが、順守しない場合は、その理由を説明しなければいけない。

今回の改訂は、東証が2022年4月にこれまでの一部、二部などの市場を「プライム」「スタンダード」「グロ-ス」の3市場に再編することと大きく関係している。特にプライム市場に移る予定の上場企業にとっては、改訂ポイントを強く意識することが重要だ。