小泉環境相、「服」も脱炭素強調 業界団体設立

アダストリアや伊藤忠商事などファッション産業にかかわる10社がサステナブルファッションを目指した業界団体を8月初旬に立ち上げる。業界団体では定期的に「サーキュラーエコノミー」や「カーボンニュートラル」についての勉強会を開き、政策提言につなげる。ファッション業界のCO2排出量は化石燃料業界に次いで2番手に位置する。小泉進次郎環境相は7月20日のオンライン記者会見で、官民連携を促し、ファッション産業のサステナビリティを加速していきたいと述べた。(オルタナS編集長=池田 真隆)

「サステナブルファッションの機運は高まっている。このアライアンスで具体的な仕組みまで考えたい」――。小泉環境相は20日のオンライン記者会見でこう話した。同省では、20年10月からサステナブルファッションに向けた自主勉強会を定期的に開いてきた。

華やかなファッション産業の裏側にあるCO2排出や水質汚染、強制労働などのサステナビリティ課題を洗い出し、官民で連携して解決していくためのアイデアを話し合ってきた。今回のアライアンスの設立を呼び掛けたのは、この勉強会に参加した企業たちだ。

参加を表明しているのは、アダストリア、伊藤忠商事、倉敷紡績、ゴールドウィン、帝人フロンティア、東レ、豊島、日本環境設計、ユナイテッドアローズ、アシックスの10社。8月初旬に立ち上げ、9月初旬から参加企業を呼び掛ける予定だ。アライアンスの名称は、まだ仮称だが、「ジャパンサステナブルファッションアライアンス」。事務局を一般社団法人unistepsと伊藤忠ファッションシステムが務める。環境省は「パートナー」という位置づけだ。

目標は2つある。「適量生産・適量購入・循環利用によるファッションロスゼロ」と「2050年カーボンニュートラル」だ。原材料の調達から製造、流通、廃棄までの全工程で、サステナビリティを強化していくための解決策を話し合う。業界全体でサステナビリティを推進していけるように、税制優遇措置などの政策提言につなげる。

このアライアンスに参加するには、下記の5項目にコミットメントしなければいけない。

1.パリ協定に賛同し、脱炭素型へのビジネスの移行を促進する。(逆行する事業については脱却に努める)
2.2050年迄のネットゼロ宣言やRE100、EP100, EV100等への参加に努める。
3.サプライヤー・顧客に働きかけ、バリューチェーン全体の透明化に努める。
4.適量生産・適量購入・循環利用を推進する。
5.アライアンスの一員として、政策関与やサステナブルファッションの協働に賛同・協力する。

7月22~23日にイタリアのナポリでG20環境大臣会合が開かれる。主要議題の一つに「サーキュラーファッション」がある。製造から廃棄という一方通行型から、回収して再利用する循環型にファッション産業を移行するための施策について話し合う。小泉環境相は会見で、「G20でもこのアライアンスをアピールする」と強調した。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナS編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナS編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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