小泉環境相、「バタリーケージは推奨しない」

【連載】アニマルウェルフェアのリスクとチャンス(4)

2月25日衆議院予算委員会第6分科会で、串田誠一議員の質問に対して、小泉環境大臣は、バタリーケージのような飼育方法は推奨されないと明言した。

「今ご指摘の採卵鶏、これは飼養の9割がまさにご指摘があったとおりバタリーケージということですが、このバタリーケージには止り木に止まったり、地面をつついたりと言った鶏が本来備えている行動欲求を満たすことができないという課題があって、アニマルウェルフェアの行動の発現の自由の観点からはこういった飼い方が推奨されるものではないと考えています」

バタリーケージで飼育された鶏
平飼い飼育

アニマルウェルフェアの5つの自由は1965年に提唱されて以来、国際スタンダードになっている。これはよく考えられていて、そのどれが欠けても高いアニマルウェルフェアは達成されない。

これまでアニマルライツセンターが畜産動物のアニマルウェルフェアについて農林水産省と話し合いを始めてからずっと超えられなかった壁があった。それは苦悩からの自由や、本来の行動が発現できる自由が常にないがしろにされてきたという壁だった。

この答弁を聞いた時、ようやく、国のアニマルウェルフェアを所管する省庁がこの壁を動かしたと私達は感激した。

それにしても英国の1965年からじつに56年後である。ずいぶんと遅れを取ったものだ。

日本でもじわりと広がる平飼い卵やケージフリー宣言

chihirookada

岡田 千尋(NPO法人アニマルライツセンター代表理事/オルタナ客員論説委員)

NPO法人アニマルライツセンター代表理事・日本エシカル推進協議会理事。2001年からアニマルライツセンターで調査、戦略立案などを担い、2003年から代表理事を務める。主に畜産動物のアニマルウェルフェア向上や動物性の食品や動物性の衣類素材の削減、ヴィーガンやエシカル消費の普及に取り組んでいる。【連載】アニマルウェルフェアのリスクとチャンス

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