プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(以下、プラ資源循環促進法)が4日、参院本会議で可決、成立した。同法はプラごみを焼却する「熱回収」を減らす一方で、リサイクル量を増やすことを重視している。法案を審議した参議院環境委員会で小泉進次郎環境相は、「熱回収をリサイクルとは呼ばない」ことを強調した。熱回収を減らすための「仕掛け」も準備中だ。(編集委員=栗岡理子)
成立した新法・プラ資源循環促進法とは
新法は資源循環を促進するための法律で、基本方針は、1.環境配慮設計、2.ワンウェイ(使い捨て)プラの削減、3.リサイクルの促進、の3点だ。1は薄型化などごみ減量につながるような設計や、リサイクルしやすい設計を支援する。2はストローやフォーク、スプーンなど無料で大量に配られる使い捨てプラを減らすため、ポイント還元や有料化、代替素材への転換などを推進する。3は市町村の分別収集や事業者の自主回収を促進する。
とりわけ3に重点が置かれている。これまで容器包装リサイクル法の下、プラ製容器包装が市町村により分別収集されてきたが、今後はこの容器包装と一緒に、ハンガーなどのプラ製品も市町村によって一括回収されることになる。
市町村の分別収集推進へ、交付金の要件見直しを検討
しかし、市町村にとっては、これまでの容器包装の分別収集費用に加えて、プラ製品の分別収集費用と、さらにはその再商品化費用までもが重くのしかかることになる。一括回収に取り組める市町村は多くないはずだ。
そのため、「仕掛け」が用意されている。これまでごみ処理施設などに支払われてきた循環型社会形成推進交付金の要件を見直すのだ。環境省は従来、多量のごみを効率よく発電しながら燃やせる大型焼却炉の建設などに同交付金を支給することで、プラごみの熱回収を推進してきた。しかし、これからはそのような熱回収ではなく、リサイクルに力を注ぐことになる。
参議院環境委員会での小泉環境相の説明によると、今後はこの交付金の支給要件に「プラスチックごみの分別収集」と「ごみの有料化」を加えることを検討しているそうだ。環境省が熱回収をリサイクルと呼ぶことは、もうないということだ。
NGO24団体が実効的な対策求める共同提言
プラ資源循環促進法の成立を受けて、「減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク」のメンバー及び賛同24団体は同日、政府に対しプラスチック製品の大幅削減に向けた実効的な対策を求める共同提言を発表した。同ネットワークは、同法がプラスチック使用製品のライフサイクル全体にまで対象を広げたことは評価しつつも、かなり不十分な点が多いことを指摘する。
例えば、市町村がプラ製品を回収する場合、事業者は再商品化費用を支払わなくて済む点だ。拡大生産者責任の原則に基づき、収集費用も再商品化費用も税金ではなく、製造・使用事業者が負担すべきであると同ネットワークは主張している。