■今さら聞けないサステナビリティ重要単語:ダスグプタ・レビュー
「生物多様性の経済学:ダスグプタ・レビュー」はパーサ・ダスグプタ・ケンブリッジ大学名誉教授がまとめた報告書で、自然資本へのダメージを考慮した新たな基準や情報開示の枠組みを提唱した。2021年2月、英国財務省が発表し、世界的に反響を呼んだ。(オルタナ副編集長=松田慶子)

同レビューは、自然資本の管理の考え方、生物多様性と生態系サービスの経済へのつながり、自然の複雑性、資産の分類と評価、など25章にわたる。

同書によると、世界の経済社会は、自然の回復スピードより圧倒的な速度で自然資源を消費している。これを「オーバーシュート」と呼び、自然資本を取り崩す過程であるため、「持続不可能」である。

そして供給サイドの「バイオキャパシティ」を見ながら、需要側の「エコロジカル・フットプリント」を管理・抑制することで、「地球1個分の経済」を目指す必要があると主張する。

現行のGDP(国民総生産)は劣化する自然資本を適正に評価しておらず、自然資本を含めた豊かさを図る「新たな尺度」を活用すること、金融や教育などにおいて、世界規模で「自然資本」の概念を取り入れることなどを提唱している。

ダスグプタ名誉教授は、「エコロジー経済学」を提唱し、「自然は私たち人間の外側にあるのでなく、私たち人間も経済も自然の一部に組み込まれている」と主張する。

英政府はダスグプタ・レビューに基づき、2021年6月に「自然にポジティブな未来」にコミットすると宣言し、政策や法律を再検討する方針を表明した。

金融界では、「TCFD」(気候変動関連財務情報開示タスクフォース)に続き、「TNFD」(自然関連財務情報開示タスクフォース)を設立し、自然資本を考慮した新たな投融資の基準や情報開示の枠組みづくりを進めている。