世界の河口域、アジアを中心に35年で2割減る

オルタナ77号「漁業トピックス」49

経済発展と河口域消失の関係が、より明白に

河川が海に合流する場所である河口域が、過去35年間に世界全体で20%消失した。韓国や米国の研究者グループが4月、学術誌「アース・フューチャー」に発表した。

研究は2396ヵ所の河口域について、衛生データで1984年から2019年の面積の変化を測定。35年間で約10万ヘクタールが消失していた。消失の約90%を中国や東南アジア地域が占め、原因は著しい経済発展による都市化や農地開発にあった。

一方、先進国での消失はほとんどなかった。これはすでに大規模開発が終わり、近年は保全に向けた取り組みが進んでいるためだ。研究グループは、今後経済発展が見込まれる途上国は、早めに保全策を講じれば消失を避けられると指摘する。

河口域は生物の宝庫だ。世界自然保護基金(WWF)の「生きている地球レポート」(2022年)は、過去50年間の生物多様性損失は陸域より水域が顕著で、淡水域では83%減少したと報告した。河口域の消失とも無関係ではないだろう。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #生物多様性

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