菅義偉首相は9月3日、辞任する意向を固めた。菅首相は昨年10月26日、臨時国会の所信表明演説で、国内の温室効果ガスの排出量を2050年までに「実質ゼロ」とする方針を表明するなど、脱炭素路線を強調していた。辞任することで、この路線はどうなるのか。(オルタナS編集長=池田 真隆)
経産省幹部は「変えられない」と言い切る。その理由について、「今年4月に米国のバイデン大統領主催の気候変動サミットで各国の首相を前にして30年に2013年度比で温室効果ガスを46%減らすと表明した。6月のG7でも脱炭素をコミットしている。バイデン大統領は変わらないので、菅首相が辞任しても、米国との関係性から日本は引き続き脱炭素路線を変えないし、変えられない」と話す。
一方で、議論中のカーボンプライシングについては変化がありそうだという。経産省では、企業が二酸化炭素の排出量を売買できる取引市場を調整中だが、「炭素税や炭素国境調整措置は菅首相と懐刀の小泉環境相が『成長に資する形』での導入を進めてきたが、プレーヤーが変わることが決まり方向性が不透明になった」と話す。