乗客77人を乗せた民間ジェット機「フジドリームエアラインズ」(FDA、静岡市)は3月16日、富士山静岡空港~県営名古屋空港(小牧)間で、チャーター運航を実施。1時間の特別遊覧飛行に、ユーグレナ社の次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を導入した世界初の試みである。筆者も記念すべき飛行に搭乗機会を得て、富士山上空の快適な空の旅へと向かった。(ホテルジャーナリスト=せきねきょうこ)

電光掲示板(8100便はバイオの語呂合わせ)
電光掲示板の8100便はバイオの語呂合わせ(撮影:せきねきょうこ)

サステオはユーグレナ社が製造・販売するバイオ燃料の名称で、使用済み食用油とユーグレナなどの藻類を原料として製造したものだ。

このプロジェクトは、鈴与商事(静岡市)、FDA、ユーグレナが共同主催し、定期旅客運送を行うエアラインとして初めて、ユーグレナ社の製造・販売するバイオジェット燃料(以下「SAF」)サステオを使用したチャーター運航となった。

FDAの機体。偶然の一致でユ―グレナのテーマカラーと同色
FDAの機体。偶然の一致でユ―グレナのテーマカラーと同色

この日、機内に搭乗したのは学校の再エネ率100%に向け共に取り組む「浜松開誠館高等学校」の生徒、2021年度Energy Pitch に参加の「科学技術高等学校」の生徒、「浜松開誠館高校」の生徒、さらに地方自治体、空港関係者、そして一部メディアの面々だ。

2050年、カーボンニュートラルの実現に向け、世界的な取り組みが推進される中で実現した飛行であり、今後の本格的なバイオジェット燃料の導入に向け大いに期待が膨らむ。

未来につながる、脱酸素社会に向け加速する3社の動向

ユーグレナ社が製造・販売するバイオ燃料サステオ
ユーグレナ社が製造・販売するバイオ燃料サステオ

ユーグレナ(ミドリムシ)のバイオ燃料は、現在、すでにバスや船舶用のバイオディーゼル燃料として使われ、その実績は、陸海空のすべての輸送手段で実績をあげている。ブランド名は、前記の通り、バイオ燃料「サステオ」として今後の普及活動にも登場する名だ。海外ではバイオ燃料普及拡大の進行が見られると言うが、日本では今後に期待される実証である。

先般、筆者はユーグレナのバイオ燃料を生産する横浜市鶴見区にある「実証プラント」を訪れた。知らされたのは、現在の燃料年産が125キロリットルであること、そのため1リットルの販売価格(1リットル1万円)が高いことだ。

飛行機のジェット燃料として使用するには、今後、少なくとも気の遠くなるような数字が必要となり、コストダウンも必須となる。 

ユーグレナ(ミドリムシ)の顕微鏡画像
ユーグレナ(ミドリムシ)の顕微鏡画像

ユーグレナではその量産体制に入るため、2025年までに大掛かりなプラント建設予定の計画(インドネシアに原料となるミドリムシの大型培養施設)が進行中だ。そこでは現在の2000倍もの生産量を見込み、年産25万キロリットルまで上げたいとしている。それによりコストダウン(1リットル200円前後)も図れ、実際に使われている海外製と遜色のない価格帯を計画中だ。      

一方、鈴与グループはすでに脱炭素社会実現に向けたCSRの一環として、ユーグレナ社の次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を導入。同グループ会社の鈴与商事では自社の宅配水配送車両への利用、鈴与カーゴネット株式会社でも、異業種メーカー間で共同運行している車両へ軽油代替として給油など、トライアル運行は実証済みだ。

ユーグレナ のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラント
ユーグレナ のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラント

今回のバイオジェット燃料での民間チャーター機初飛行において、地方空港における燃料の調達・供給・品質管理などを精査しながら、脱炭素社会、持続可能な社会の実現を目指し活動を活発化に向けて歩みを続けている。

実際に航空機を飛ばしたFDAは2009年7月、富士山静岡空港の開港にあわせ運航を開始した新規参入の航空会社であり、このFDAは鈴与100%出資のリージョナル(地域)航空会社でもある。現在は飛行地域を増やし、2022年の夏ダイヤでは、全16都市25路線を繋ぎ、毎日92便の運航を計画中という。

脱酸素社会(カーボンニュートラル)を目指す活動は、2015年にパリ協定で2つの目標が掲げられて以来、現在、世界各国で目標が掲げられ、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量ゼロ、又は大きく軽減することを実現しようと掲げている。

温室効果ガスの排出量を抑制し二酸化炭素を回収、温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにする。

果たして21世紀の後半までに目標は達せられるのか、傷んだ地球を救えるのか、真摯な対応が迫られる時が来ている。「遅すぎた」では済まない現実、言い訳せずに環境を守りたいと願う。仕事で世界を縦横無尽に飛んでいた筆者もジレンマに襲われる。果たして飛行機のハードユーザーとして何ができるのか、近未来へ託された責任の一端を熟考しできることから行動に移したい。                      

参考資料:ユーグレナ・ニュース、環境省「地球温暖化対策計画」、環境省「脱炭素ポータル」
写真提供:ユーグレナ