ユーグレナ(東京・港)は4月9日から3日間、都内のガソリンスタンドで新しい「バイオディーゼル燃料」を実験販売した。ミドリムシと企業などから回収した廃食油を混合したもので、次世代バイオ燃料を一般に販売するのは日本で初めてという。3日間でバイオディーゼル燃料を500リットル供給し、今後は量産体制を構築し、製造コストを下げることが課題となる。(松田慶子)

ユーグレナの出雲充社長

今回都内のガソリンスタンドで販売したのは、「ユーグレナバイオディーゼル燃料」と、「ユーグレナバイオハイオク燃料」の2種類だ。

「バイオディーゼル燃料」には、通常のディーゼル燃料にバイオ燃料を10%混合した。このバイオ燃料は、90%が廃食油、10%がユーグレナ(ミドリムシ)を原料にしているという。バイオ燃料の割合は従来5%が上限とされてきたが、今回の出荷分は10%混合し、技術的には100%まで可能になっている。燃料の品質は法令、JIS規格に適合済みだ。

同社が製造するバイオディーゼル燃料は、体内で油脂を生成する種類のミドリムシと廃食油(使用済み食用油)が原料だ。食料との競合や農地確保のための森林破壊を起こさず、プラントの場所の制限が少ないこともメリットとしている。

価格はバイオディーゼルが116円、バイオハイテクは151円と、市場並の燃料価格の水準で設定した。ユーザーにとっては通常通りの給油方法、価格でバイオ燃料を試せたことになる。期間中に関西からのユーザーも訪れたという。

この3日間で、「バイオディーゼル燃料」は500リットル、「バイオハイオク燃料」は900リットル供給した。

車を買い替えずにバイオ燃料を導入

9日の記念式典で出雲充社長は「日本ではCO2を年間約11億トン排出している。そのうち森林の光合成によって年間3億トンを吸収するが、2050年にネットゼロを目指すには8億トンの削減が必要」とし、「多くの皆様に車を買い換えることなくバイオ燃料を楽しんでいただき、地球やSDGs(持続可能な開発目標)について考えるきっかけにしていただきたい」と呼び掛けた。

製造方法でも工夫を重ね、バイオ燃料のライフサイクルで排出されるCO2を1.5kg以下(食品油製造時のCO2排出は含まない)と、石油由来燃料での排出量の約3kgと比較し大幅に抑えたとしている。

今後は量産体制を構築し、製造コストを下げることなどが課題となる。今回販売したバイオディーゼルはバイオ燃料10%混合だが、それでも本来の価格は1リットル1000円で、商業ベースの価格(ガソリン同約150円、ディーゼル約124円)からは遠く、同社では2025年にはプラントを新設し、コストを大幅に下げたい考えだ。

2035年に電動化100%を目指す政策の中でディーゼルへの扱いも気になるところだが、ユーグレナは乗用車では電動化が進むものの、長距離輸送や重量のある商用分野ではディーゼルのニーズは固いと見ている。

既存車両への燃料としては「今回のバイオ燃料は今ある車両、今あるインフラを変えることなくCO2を削減できる」(出雲社長)とし、「こうした販売を通じ、お届けしやすい方法を学んでいきたい」としている。