エシカルな服を買うのと買わないのはどちらがエコか。こんな質問をされたらあなたはどう答えるだろうか。結論からいうと、もしすでに所有しているすべての服が、環境負荷の高い製造方法と素材で作られたものだとしても「新しく買わないこと」が最もエコな方法となる。我々ができることは、既存の衣類を1回でも多く着続けることだ。どんなに環境配慮された衣類も、買わないことほどエコなことはない、という話である。(CSRコンサルタント=安藤 光展)

エシカルな服を買うのと買わないのはどちらがエコか。こんな質問をされたらあなたはどう答えるだろうか。結論からいうと、もしすでに所有しているすべての服が、環境負荷の高い製造方法と素材で作られたものだとしても「新しく買わないこと」が最もエコな方法となる。環境配慮で有名なブランドのパタゴニアでは以下のように解説されている。
私たちが会社としてできる最も責任あることのひとつは、長持ちする高品質の製品を作ることで、それにより皆様は消費を抑えることができます。衣類の寿命をわずか9か月間伸ばすことにより、炭素排出、水の使用、そして廃棄物のフットプリントを20%〜30%も削減できます。
出典 https://wornwear.patagonia.jp
すべての服がこうなるとは思わないが、極論、パタゴニアの商品でさえ、環境負荷がゼロではないため「買わないほうがエコ」であることは間違いない。パタゴニアはこの姿勢を以前から貫いており、2011年のニューヨークタイム紙に掲載された「このジャケットを買わないで(Don’t buy this jacket)」は有名な広告だ。まず我々ができることは、既存の衣類を1回でも多く着続けることだ。どんなに環境配慮された衣類も、買わないことほどエコなことはない、という話である。
マーケティングやアパレル系のソーシャルベンチャーでは、「サステナブルな素材・工程で作られた当社の商品を買ってくれ」という。ビジネスなので当然なのだが、結局買わなければならないし、総合的には環境負荷を増やしかねない。企業も個人も考えるべきは「全体最適」である。
サステナビリティ、特に環境問題に対して言えることであるが、目の前の商品・サービスの環境性能が注目され、顧客側での廃棄までのバリューチェーン全体での環境負荷はあまり考慮されない。総合的に考えた時とそうでない時では、取るべき選択肢が変わることもある。結果論からすると「グリーン・ウォッシュ(見せかけだけの環境配慮)」が起きる可能性は、社会のすべての場面に潜在的な可能性がある。
もう一度質問したい。エシカルな服を買うのと買わないのはどちらがエコか?そして、あなたは今日どちらの選択肢を選ぶのか?