京都府の京丹後市と岐阜県の美濃加茂市が10月3日、ソーシャルビジネスを軸にまちづくりを展開していくと発表した。京丹後市の中山泰市長と美濃加茂市の伊藤誠一市長は同日に行われたイベントに登壇し、「ソーシャル・ビジネス・シティを目指す」と宣言した。ソーシャル・ビジネス・シティとは、グラミン銀行を創設したムハマド・ユヌス氏が提唱したもので、社会課題を起点にまちづくりに取り組む考え方である。国内では、2011年に福岡市がアジアで初めてソーシャル・ビジネス・シティ宣言をしている。(オルタナS編集長=池田 真隆)

中山市長と伊藤市長は3日、大学教授らからなるソーシャルビジネスアカデミアネットワークなどが開いた第2回SocialTechサミットに登壇した。ユヌス氏は同イベントのアドバイザーを務める。

両市長は、今後のまちづくりについて、カーボンゼロ、貧困ゼロ、失業ゼロの「3ゼロ」を目指すと語り、失業者を出さないための施策の一環として、ソーシャルビジネスが軸になると強調した。地域の課題を特定し、課題解決型の民間のビジネスを後押ししていくと話した。

京丹後市の中山市長は、「昨年度末に成立した労働者協同組合法で、地域活動をビジネスとして展開することができるようになった。さらに、2014年に全国の自治体で初めて京丹後市コミュニティビジネス応援条例を制定し、住民のビジネス創造を強力に支援してきた。このような制度の整備を通じて、ソーシャルビジネスが花開く街を目指していく」と話した。

今後は両市とも、社会起業家の発掘・育成を行う公益社団法人ジャパンチャレンジャープロジェクトと組み、地域の課題を解決する起業家の育成に取り組む。

◾️パリ五輪では調達額の4分の1をソーシャルビジネスに

ソーシャル・ビジネス・シティを提唱するユヌス氏は世界各地でこの考え方を広げている。

実は、東京もその候補地の一つだった。東京五輪に合わせて、東京をソーシャル・ビジネス・シティにする計画を立てていたのだ。2017年2月21日に来日した際には小池百合子都知事と面会して、その必要性を訴えていた。

残念ながら、東京はソーシャル・ビジネス・シティ宣言をしなかったが、ユヌス氏は2024年に行われるフランス・パリ五輪に向けて同国の組織委員会と調整を進めている。

パリは五輪誘致決定後に世界で6番目のソーシャル・ビジネス・シティ宣言をした都市だ。

すでに組織委員会は、五輪開催に当たり調達する総額70億ユーロのうち、25%にあたる17.5億ユーロをソーシャルビジネスや中小企業に発注する方針を社会憲章として表明している。