フランスが11月18日、2024年から犬と猫のペットショップでの店頭販売を禁止することを打ち出し、日本でもペットの「飼い主ガチャ」問題が話題になっている。環境省によると2019年4月1日から2020年3月31日までに捨てられた犬猫を自治体が引き取った数は85,897頭に及び、その内32,743頭を殺処分した。新型コロナウイルスの影響で在宅時間が増えたことで、「にわかペットブーム」が起きたが、一方で飼育放棄も増えているという。「飼い主ガチャ」をどう防ぐのか。(オルタナS編集長=池田 真隆)
「飼い主ガチャ」とは、インターネット上で生まれた言葉だ。「ガチャ」とは、スマフォゲームでキャラクターを入手する方法を指す。何のキャラクターを入手できるかは運によることをなぞらえて、ペットがどのような飼い主に選ばれるかは運次第という意味だ。
ペットの飼育放棄を防ぐ方法は、大きく分けると2通りある。一つは、フランスのように法律で販売規制をかけることだ。
フランス議会上院が11月18日に可決した動物愛護に関する法律の改正案では、2024年から犬と猫のペットショップでの店頭販売を禁止することに加えて、購入後7日間は解約可能、購入者に飼育に関する知識があるかどうかを証明するため書類にサインさせることなどを義務付けた。
この法律を施行する2024年後は、フランスで犬猫を飼いたい場合は、ブリーダーから購入するか保護施設から引き取るかの二択となる。
ドイツやギリシャではペット業者には法律で店舗の面積に対して扱える犬猫の頭数に制限を設けている。違反すると罰金や業務停止につながる。
この法律があるため、業者は犬猫の生体販売を行うことは非効率と考え、犬猫を取り扱っているペットショップはほとんどない。
ドイツに関しては、飼い主が飼っている犬の頭数に応じて税金を納める「犬税」もある。州によって税額は異なるが、1頭当たり年間で1~2万円だ。
■「飼育方法を啓発」、学校で授業も
もう一つの方法は、飼い主の意識を変えることだ。実は、フランスの改正案では、学校でペットの正しい取り扱い方を教える授業を開くことも規定した。
メディアでは、ペットの「店頭販売禁止」が大きく取り扱われているが、最も効果的に機能するのは、飼い主の啓発につながる施策だ。認定NPO法人アニマルライツセンターの岡田千尋代表理事は、「教育と紐づいた法規制は大変有効に働く」と語る。
一方、日本の状況を見ると、欧州や米国と比べると規制も啓発も遅れている。象徴的なのが、生体販売だ。さらに半年前までは、生後間もない犬猫の販売も法的に問題はなかった。これは、「齢(よわい)八週齢(はっしゅうれい)」と呼ばれるもので、動物愛護団体や著名タレントなどはキャンペーンを立ち上げて10年以上前から政府に販売規制を訴えていた。
生まれてから56日経たずに親から離すと、精神的外傷を負う可能性が高く、無駄ぼえや無駄がみなどをしやすくなる。その結果、飼い主の飼育放棄へとつながってしまうのだ。
保護犬を飼育している演出家の宮本亜門も「齢八週齢」に規制を掛けることを求めた一人だ。2017年のオルタナ編集部のインタビューにこう答えている。