視点焦点―複数アドレス持ってみない?

ADDressを最も象徴するのが、会員同士の部活かもしれません。現在、みんなのエベレスト部、おしごと部、日本酒部、サウナ部など22の部活があり、715人が登録しています。やはり、現代の日本人はどこかに孤独を抱えている人が多く、人とのつながりを求めているのでしょう。

熊本・多良木邸はブルートレイン

おしごと部を立ち上げた30代の男性は「会員の中には魅力的なスキルや経験を持っている人が多い。そんな人たちを住環境だけでなく、仕事の面でもつなげられれば」と部活の動機を明かします。

実際に、単なる親睦ではなく経済的価値を生み出している活動もあります。香川県・三豊市では家守と会員が農作業を手伝ったり、廃棄される端物野菜を集めて家でマルシェを開いて売り、農家の収入にしています。また熊本県・多良木町の家はブルートレインの寝台車を宿に使っていますが、ここに泊まったウェブ動画のクリエイターが企業に制作方法を教え、ドローンに詳しい人が農家に使い方を指導して利益を生み出しています。今は小さな動きとはいえ、こういう人たちが将来は地域経済の担い手となりうる、その第一歩として注目されます。

ADDressは2030年には全国20万か所、会員100万人を目指しているそうです。今後に向けどれだけ多くの拠点物件を開発できるか、それがカギを握っていそうです。

ADDressがどこまで日本を変えるか、楽しみです。

harada_katsuhiro

原田 勝広(オルタナ論説委員)

日本経済新聞記者・編集委員として活躍。大企業の不正をスクープし、企業の社会的責任の重要性を訴えたことで日本新聞協会賞を受賞。サンパウロ特派員、ニューヨーク駐在を経て明治学院大学教授に就任。専門は国連、 ESG・SDGs論。NPO・NGO論。現在、湘南医療大学で教鞭をとる。著書は『国連機関でグローバルに生きる』など多数。執筆記事一覧

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