コロナ禍で寄付が増加、個人寄付は1兆2126億円に

■NPO選びで間違えないためには(7)■
日本ファンドレイジング協会は11月30日、日本の寄付市場を調査した「寄付白書2021」を発表した。「寄付白書2021」によると、日本人の44.1%が金銭による寄付を行っている。個人寄付総額は1兆2126億円であり、前回調査(2016年)と比べて約1.5倍に増加した。(非営利組織評価センター=村上佳央)

日本人の44.1%が寄付をしている

コロナ禍で高まる若者の社会貢献意識

同白書によると、8.7%の人が新型コロナ関連の寄付を行った。過去の災害と比べると寄付者率はそれほど高くないものの、通常、高齢になるほど寄付者率が増加するのに比べ、新型コロナ関連の寄付者率はむしろ20代など若年層の方が高い傾向がある。

コロナ禍による社会貢献意識の強まりと、実際の寄付行動には関係性が見られる。「自らの参加により、社会現象を少しは望ましい方向に変えられるかもしれない」という意識が強まった、と回答したグループのうち、実際に寄付をしている人は過半数を上回り、他のグループの平均よりも高かった。

NPO・政府への信頼は低下

日本において寄付市場は拡大傾向にあるものの、名目GDP比は0.23%に留まり、国際的に比較するとまだまだ成長の余地が残されていると言える。この状況は何を意味するのだろうか。

コロナ禍前後で「身近な人との助け合いが強まった」と回答した人は43.6%いた一方で、NPO・政府への信頼は低下した。

特に政府への信頼が「弱まった」と回答している人は50.2%に及んだ。政府よりも、むしろ寄付などの民間の資金で社会課題の解決を目指す動きが高まりつつある。しかし、同時にNPOへの信頼が「弱まった」と回答する人も11%いる。ここに民間の公益活動団体を信頼しきれないという寄付者の悩みが表れている。

資金を託されるNPO側の信頼を高めていくことが、日本に寄付文化を醸成する最後の鍵と言えるかもしれない。

12月は寄付について考える

日本に寄付文化を醸成する動きとして、「寄付月間2021」がある。民間の資金で社会課題の解決を促進する、寄付啓発キャンペーンとして2015年から開催され、今年が7年目にあたる。

今年度は寄付月間に賛同するパートナーが741法人となり、130以上の賛同企画が予定されている。SDGs(持続可能な開発目標)を学べるワークショップに参加する、ハッシュタグ「#寄付について考える」をつけてSNSに投稿する、などの多様な企画が用意され、誰でも気軽に参加ができることが特徴だ。

「いままで寄付をしたことがない」、「寄付をどこにすればよいのか分からない」という初めて寄付をする人に向けて、寄付月間賛同パートナーの非営利組織評価センターは、信頼あるNPO「グッドガバナンス認証団体」への寄付を推進している。

1000円からできる寄付、Amazon「みんなで応援」プログラムの物品寄付など、安心して楽しく寄付を始められる仕組みだ。

●非営利組織評価センター 寄付月間賛同企画
12月はグッドガバナンス認証団体にアクションを起こして応援してみよう

●寄付白書2021
認定特定非営利活動法人日本ファンドレイジング協会が発行する、日本の寄付の全体像を明らかにする唯一の調査レポート。11月30日に発行し、12月17日より一般販売を開始する。
https://jfra.jp/news/38647

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公益財団法人 日本非営利組織評価センター

日本非営利組織評価センターは、NPOの組織評価を行う日本で初めての第三者審査機関です。  グッドガバナンス認証マークはNPOの「信頼の証」。財務が健全である、労務管理は法律に準拠している、不正を防止する仕組みがあるなどの視点に基づく審査を行っています。SDGs達成に向けた協働先、社員のボランティア参加先にもおすすめです。

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キーワード: #NPO#寄付

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