オルタナは12月20日、森林ジャーナリストの田中淳夫氏を講師に招き、読者会員向けセミナー「いま流行りのSDGsの在り方に『喝!』」をオンライン開催した。SDGsが急速に広まるなか、田中氏は、森林減少やCO2吸収、水源涵養など森や地球環境を巡る常識に対する異論を唱え、「都合の良い思い込み」を取り払うように呼びかける。(オルタナ編集部)

「いま流行りのSDGsの在り方に『喝!』」に登壇した森林ジャーナリストの田中淳夫氏

森林は二酸化炭素(CO2)を吸収し、炭素を固定することから、気候変動対策として森林整備が進められている。日本では、その森林整備として、樹木の一部を伐採し、残った木の成長を促す「間伐(かんばつ)」が推奨されているが、本当に気候変動対策として効果があるのか。

森林ジャーナリストの田中氏は「残した木の成長が良くなるので、二酸化炭素の吸収量が増えるという理屈だが、切り捨てた間伐材は腐るので、二酸化炭素を排出する。時間差はあるものの、最終的には差し引きゼロになる」と説明する。

「そもそも、森林は光合成で二酸化炭素を吸収するが、森林内に生息するキノコやカビなどの菌類は光合成をせず、呼吸しかしない。森全体で見ればプラスマイナスゼロ。面積および木材蓄積を増加させている森林だけが炭素を固定する。森林による吸収量の目標を立てたところで、本当に二酸化炭素が減るのだろうか」(田中氏)

バイオマス発電に関しても、輸送など含めたライフサイクル全体で見れば、カーボン・ニュートラル(炭素中立)とはいえず、皆伐や大規模な盗伐をも引き起こしていると指摘する。

こうした森や地球環境を巡る常識に対する異論は、新著『虚構の森』(新泉社)で詳述されている。

田中氏は「林業は、本当に環境保全型産業なのか。実は自然破壊産業ともいえないか。異論が正しいというつもりはないが、植林すれば温暖化が防げるといえるほど簡単な話ではない。科学者が一生懸命研究し、対策を考えても、政策に生かされていない。表面的な情報にとらわれず、常識と違う異論から物事を捉え直し、何が正しいのか、見極める必要がある」と強調した。