【連載】サステナビリティ経営戦略(21)

前編では、人的資本経営の重要性の高まりを受けて、国内外で進む人的資本の情報開示の動向などをご紹介しました。後編では、人的資本経営に取り組む国内の先進企業事例、人的資本経営における日本企業の課題と展望などについて解説します。(サステナビリティ経営研究家=遠藤 直見)

国内での人的資本経営への先進的な取り組み

人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期の企業価値向上に繋げる経営です。国内でも人的資本経営を表明・実践する企業が増加しています。

三井化学は、昨年長期経営計画「VISION2030」を策定し、従来の素材提供型から社会課題解決の視点に立ったソリューション提供型及びサーキュラーエコノミー型のビジネスモデルへの転換を進めようとしています。それを担うのは社員であり、どのように社員を育成・採用し、職場環境を整え、能力を最大限発揮して貰うのか、新設されたCHRO(Chief Human Resource Officer:最高人事責任者)が人材戦略の立案・実行に責任を負います。

資生堂は、1月に人事部を発展的解消し、人財本部を設けました。同本部内の人財企画部は、優れた人材の採用やウェルネスの推進に加え、人材データの活用や分析等、DX活用を通じて組織・人財戦略を策定し、変革の実行をリードする役割を担っています。

オムロンは、人材戦略の柱の一つに「リーダーの育成と登用」を挙げ、企業理念を自ら体現し、ありたい姿に向けて率先して組織を牽引する強いリーダーの育成に取り組んでいます。海外のコアポジション(同社の持続的成長とビジネスモデル変革を牽引するために最重要となるポジション)については、現地化比率が大きく向上(2017年度の49%から2019年度は70%)しています。

これらの企業に共通していることは、人材戦略を経営戦略の一環として位置付けている点です。

人的資本経営における日本企業の課題と展望