ウクライナ戦争、寄付は平和求める市民の「意思」

ウクライナ戦争は世界の様々な認識を大きく変えてしまいそうな事態である。これだけの不条理がどこの世界にも起こりえるという恐怖と日常や命を奪われるウクライナ市民のことを想うといたたまれない。(日本ファンドレイジング協会代表理事=鵜尾 雅隆)

その中で、ひとつ忘れないでいたい事実は、世界中の政府が軍事的直接支援を行いにくい状況の中で、ウクライナ政府や難民支援団体への大きな寄付の輪が広がっているということである。

寄付がひとつの平和を希求する市民の「意思表示」となっている。投資行動も反応して変化している。近年話題になっている、「新たな資本主義」と共感のお金の流れは親和性が高い。

いや、言い換えれば本質なのかもしれない。資本主義が市場メカニズムを前提とした場合、「その市場で交換されるものは何なのか」「市場以外の場で交換されるものの価値をどう考えるか」という2つのポイントがあるように思う。

一つは、市場メカニズムで交換されるものが貨幣価値換算のできるものであるというのは、それが分かりやすいということではあっても、本質ではないのではないかということである。

取引主体が何を価値と考えるかが大切であって、それがこれまでは経済・貨幣的価値に換算されることが合理的であったのは事実であるが、その延長には、むしろ非合理な状況(気候変動やうつや孤立化)が増えてきてしまうという現実がある。

その交換されるものに経済的価値以外の非財務的な情報(企業行動が生み出す社会的なポジティブなインパクトの評価情報や気候変動への対応状況)を上場企業が加えようとする新たな流れが欧米企業を中心に生まれてきつつある。

制度ではなく「価値観」の進化を

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鵜尾 雅隆(日本ファンドレイジング協会代表理事)

連載:社会イノベーションとお金の新しい関係 日本ファンドレイジング協会代表理事。国際協力機構、外務省、米国NPOを経て、ファンドレイジング戦略コンサルティング会社ファンドレックス創業。寄付、社会的投資の進む社会を目指して日本ファンドレイジング協会を創設。著書に『ファンドレイジングが社会を変える』など。

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キーワード: #寄付

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