世界は不確実性を増している。ウクライナ戦争は国際関係における不確実性の高まりを確信させる事象であるが、それ以外にも少子高齢化と社会保障費・財政赤字の拡大は、漠然とした将来への不安を若い人たちにもたらしている。(日本ファンドレイジング協会代表理事=鵜尾 雅隆)
経済も日本の一人当たりGDPも世界での相対的順位が低下して、2027年には韓国に追い越されるという予想が出ている。これまでの「経済成長─分配─個人の幸せ」という構造は機能しなくなっているのだ。こうした中で、私たちも予定調和的な経済社会観の変更を求められてきている。
かつてピーター・ドラッカー氏はこう語った。「1990年代までは社会は安定的な所与を前提と考えて技術と経済を進化させることができた。しかし、90年代からは社会そのものが変化するようになった」。
社会そのものの変化や「うねり」を把握しないことには経済や技術も発展していかない状況が生まれているということである。かつては企業にとって社会はシンプルだった。社会は貧しく、日常生活にももっと技術進化が必要だった。経済や技術の進化の追求が多くの人の幸せに直結することに疑いはなかった。
しかし、成熟状態になると、それだけでは足りなくなってしまうし、時には経済活動が成長し過ぎると気候変動や孤立化といった負の影響も出てくる。
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