東京都が、ハウスメーカーに対して、新築住宅の屋根に太陽光発電の設置を義務付ける新たな制度を提案しています。東京都を再生可能エネルギー100%にするには、住宅の屋根のスペースを活用して、太陽光発電の設置を増やすことが欠かせません。気候変動対策だけでなく、家を買う人にもメリットとなるこの制度の内容とは?(エネルギーチーム鈴木)

■気候変動対策に使える「屋根の上」
まったなしの気候危機。CO2の大幅削減に有効なのは、省エネ・高効率化して使うエネルギーを減らし、必要なエネルギーを再生可能エネルギーにシフトするスピードを早めることです。
再生可能エネルギーの拡大には、太陽光パネルや風力タービンを設置する場所が必要ですが、東京のような大都会にも、太陽光パネルの設置を大幅に拡大できる場所があります。住宅の屋根の上です。
東京都は現在、ハウスメーカーに、新築住宅に太陽光発電設置を義務付ける新たな制度を提案しています。2030年までに再エネ比率を50%に引き上げるための施策です。屋根の上を有効活用して太陽光発電を推進する設置の義務付けは、気候変動対策としてとても有効です。
■4%しかない
屋根置き太陽光発電は、東京都ではまだ住宅への設置率が4%程度しかありません。
日本では、住宅への太陽光発電設置の義務化はこれが初めての例となりますが、海外では、アメリカやEUですでに取り入れられています。日本でも、全国に広げていかなければいけません。
この制度は、「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)」改正によるものです。改正には、報告書制度なども含まれますが、ここではハウスメーカーへの太陽光発電設置義務制度のポイントを説明します。
■気候危機に効く
太陽光発電の住宅への設置の拡大は、深刻化する気候変動を緩和するために、地球の温度上昇を1.5度以下に抑えるためには必須です。
グリーンピースが環境エネルギー政策研究所(ISEP) に委託して作成したシナリオでは、住宅や商業系建築物には、8.3ギガワットの太陽光発電導入ポテンシャルがあります。公共の建物や工場の屋上、未使用(低使用)農地の導入ポテンシャル、そして、域外から調達する洋上風力発電の導入ポテンシャルと合わせると、東京都は再生可能エネルギー100%を達成することができます。
逆に言えば、住宅の屋根を利用しなければ、再生可能エネルギー100%を達成できません。
この続きはこちら