企業と同じように非営利組織もガバナンスに問題を抱えている。非営利組織評価センターが調べたところ、2021年6月から2022年1月までの7カ月間で84件の不祥事があった。善意で活動するはずの組織が、なぜ不祥事を起こすのか。その原因は非営利組織特有の組織基盤の弱さにあった。(非営利組織評価センター=村上 佳央)
2014年9月、あるNPOの会計職員の横領が発覚した。その職員は多額の借金を抱えていたことが分かったが、この問題の背景には非営利組織特有のガバナンスの「脆弱性」がある。団体が発表した報告書では、その職員に権限が集中していた。残高や会計処理の確認体制が定められていなかったのだ。
非営利組織評価センターは6月11日の日本NPO学会で、非営利組織の不祥事を新たに収集した「不祥事データベース」を発表した。2021年6月から「Googleアラート記事検索」で収集を行ったところ、2022年1月末までに84件の不祥事があった。
不祥事は個人型と組織型に分けられる。個人型の 「横領・着服」は14件発生し、そのうち「経理を一人で担当」していたケースが7件あった。組織型の「不正受給」の10件について「虚偽の帳簿・報告」によるものが、7件あった。