世界3大広告賞の一つである「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル(通称:カンヌライオンズ)」が今年も開催された。エントリー数・参加者数ともに最大級。世界中の優れた作品への評価は、未来のコミュニケーションのトレンドを占ううえでも重要な指標になってくる。今回はカンヌライオンズのSDGs部門の受賞作品を中心に、これからのSDGsコミュニケーションに必要なものや進むべき方向について考えていく。(伊藤 恵・サステナビリティ・プランナー)
■真のDE&Iの提示
性別、民族、宗教、国籍、年齢などの違いを認識し、個性を認めあい、さまざまな情報や機会へのアクセスを、公平に保証することにより多様な力を発揮することを目指すDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)。女性の権利拡大や格差是正を訴えるものや、障害者の情報アクセスや活動領域を拡張させるテクノロジーなど、これまでのカンヌライオンズでもDE&Iに関連した受賞作品は数多く存在している。
今年のカンヌライオンズで注目したいのは、このようにDE&Iの重要性が年々増していく中で、世の中でまだ認識があまりされていなかった不平等・不公正に光を当てた作品だ。これから紹介する2つの受賞作品は、真のDE&Iとは何かを私たちに問いかけている。
■肌の色の違いによる医療アクセスの不平等に立ち向かう「SEE MY SKIN」