解説:伊藤レポート3.0と価値協創ガイダンス2.0

【連載】サステナビリティ経営戦略(28)

記事のポイント
①経産省が公表した「伊藤レポート3.0」と「価値協創ガイダンス2.0」を解説
②「伊藤レポート」は2回改良したが、その都度サステナビリティの重要性を強調
③「価値協創ガイダンス2.0」はサステナビリティ経営の効果的な情報開示を提案

8月31日、経済産業省は「伊藤レポート3.0(SX版伊藤レポート)」と「価値協創ガイダンス2.0」を公表しました。2014年公表の「伊藤レポート」では、日本企業がイノベーション創出力を持ちながらも持続的低収益に陥っているという課題認識を踏まえ、資本効率性の向上(資本コストを上回るROEの達成)を企業に要請しました。(サステナビリティ経営研究家=遠藤 直見)

2017年公表の「伊藤レポート2.0」では、中長期的な企業価値向上のためには無形資産投資やESGへの対応についてストーリーとして説明することが重要であるとし、「価値共創ガイダンス」が策定されました。

今回の「伊藤レポート3.0」では、「2.0」を大胆に進化させ、中長期的な企業価値向上に向けたサステナビリティ経営の重要性について明言しています(以下)。

・サステナビリティへの対応は、企業が対処すべきリスクであることを超えて、持続的な価値創造に向けた経営戦略の根幹をなす要素である。
・企業が持続的に成長原資を生み出す力(稼ぐ力)を向上させていくためには、サステナビリティを経営に織り込むことがもはや不可欠であるといっても過言ではない。
・今こそ、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)を実践するときである。これこそが、これからの「稼ぎ方」の本流となっていく。

本レポートでは「社会のサステナビリティと企業のサステナビリティの同期化及びそのために必要な経営や事業の変革」のことをSXと呼んでいますが、これは本コラムでの「サステナビリティ経営」と同義です。

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遠藤 直見(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家)

遠藤 直見(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家)

東北大学理学部数学科卒。NECでソフトウェア開発、品質企画・推進部門を経て、CSR/サステナビリティ推進業務全般を担当。国際社会経済研究所(NECのシンクタンク系グループ企業)の主幹研究員としてサステナビリティ経営の調査・研究に従事。現在はフリーランスのサステナビリティ経営研究家として「日本企業の持続可能な経営のあるべき姿」についての調査・研究に従事。オルタナ編集委員

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キーワード: #ESG

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