「人的資本経営」掲げる日本のエンゲージメントは遅れている

記事のポイント


  1. 非財務情報が重要な指標になる中で、人的資本もそのうちの一つ
  2. しかし、日本企業のエンゲージメントは世界最低クラスに位置する
  3. 予測不可能な時代には、「課題発見力」を磨く人材育成が必要だ

ESGの浸透はマルチステークホルダーの概念を普及させるきっかけとなった。国際統合フレームワークによってビジネスの全体像を把握し、それをもとにステークホルダーとの信頼関係を強化しながら、ビジネスの戦略と事業計画を策定する事が、現在のビジネス戦略のスタンダードとなりつつある。(大喜多 一範)

日本企業の従業員エンゲージメントは世界最低クラス

こうした中で、企業価値に対する考え方も大きな転換期を迎えている。これまで企業の評価指標の中心であった財務情報に加えて、非財務情報が重要な評価指標となった。

非財務情報は、言い換えると無形資産と呼ばれるが、この無形資産には、「知的資本」「人的資本」「社会・関係資本」「自然資本」の4つの資本がある。

この無形資産こそが企業を推進する原動力となり、企業価値を高める源泉であるとも言える。今回は、この4つの資本の中から「人的資本」についてとり上げたい。

日本の高度経済成長を支えたのは、日本企業の技術力によると言われるが、その技術力の推進を担ったのが従業員のパフォーマンスと企業へのロイヤルティであった。

これらは現在の言葉に置き換えると「従業員エンゲージメント」と言う事ができるだろう。

当時の日本的経営の中で、最も重要な要素の一つが家族的経営と終身雇用であった。経営者、従業員、取引先企業が家族の様な一体感を共有し、また、そうした一体感によってチームワークを醸成し、組織力を高めてきた。

バブル崩壊後、労務費は「コスト」へ

有料会員限定コンテンツ

こちらのコンテンツをご覧いただくには

有料会員登録が必要です。

editor

オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

執筆記事一覧
キーワード: #ESG

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..