米スポーツ大手のパタゴニア創業者であるイボン・シュイナード氏(83)が、保有する同社の全株式を、地球環境保全の非営利組織に寄付することが明らかになりました。ニューヨークタイムズなど複数の米メディアが報じました。このニュースを聞き、改めて「会社は誰のものか」という命題を考えてみました。(オルタナ編集長・森 摂)
ニューヨークタイムズなどによると、シュイナード氏と家族が保有する同社の全株式は30億ドル(約4300億円)の価値があり、毎年数億ドルの運用益が得られるとしています。
すでにその2%を非営利組織「パタゴニア・パーパス・トラスト」に寄付し、残りの98%も非営利組織「ホールドファースト・コレクティブ(the Holdfast Collective)」に寄付するそうです。
同紙のインタビューに対して、シュイナード氏は「私たちは、地球を守るために活動している人のために、財産を放棄することにした」と答えました。
実は、私がオルタナを創刊したのも、20年あまり前のシュイナード氏とのインタビューがきっかけの一つでした。「オルタナ宣言:新雑誌発行に向けての決意」(2006年7月26日)にその詳細を掲げています。
当時、私がシュイナード氏に「会社は誰のものだと考えますか」と聞いたところ、彼は「株主のものでも顧客のものでもない。地球のものだ」と答え、驚いた経験があります。
■「会社は誰のものか」という問いかけは愚問