1リットル170円台に迫るガソリンの急騰を受けて、萩生田経済産業相は11月6日、石油元売り各社に対し、最大1リットル5円の補助金を出すことを表明しました。ガソリン価格の上昇を抑えるための補助金は初めてです。ミルトン・フリードマンの「負の所得税」ならぬ「負の炭素税」という言葉が頭に浮かびました。(オルタナ編集長・森 摂)

世界の原油価格の代表的指標は、ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)です。その原油価格が史上最高値を記録したのは2008年7月11日で、1バレル=147.27ドルに達しました。

その時は米国でのガソリン価格は1ガロン4ドルを超えました。クルマ通勤が多い米国でも、友人のクルマに載せてもらったり、バス通勤に替えたりという風景がテレビで流れました。

日本でも2008年8月にガソリンの平均価格が1リットル185円を超え、地域によっては200円近くまで上がりました。その時にも、そして70年代の石油ショックの時にも、ガソリン価格抑制のための補助金はありませんでした。

現在のWTI価格は78ドル近辺を推移しています。2008年当時の147ドルには遥かに及ばないにも関わらず、なぜ日本のガソリン価格がここまで急騰するのか、不可解な点もあります。

それはさておき、1リットル5円の補助金は、まさに「逆炭素税」です。

炭素税とは、イギリス、フランス、スウェーデンなど欧州を中心に、石油、天然ガス、石炭などの化石燃料や石油製品に課税し、その使用量を抑制する仕組みです。もちろん、気候変動に対する各国政府の対策として導入されました。

日本政府も2012年に地球温暖化対策税を導入しましたが、その税額はガソリン1リットル当たり0.76円に過ぎません。

そして2020年10月に菅首相(当時)が「2050年カーボンニュートラル」を宣言した後、政府ではカーボンプライシングの導入検討を進めています。カーボンプライシングとは「炭素税」「排出量取引」「国境調整措置」(国境炭素税)を指します。

ガソリン価格急騰も、一種の「炭素税」