国連事務総長、「化石燃料企業への課税」強調

記事のポイント
①国連のグテーレス事務総長は9月20日、第77回国連総会で演説した
②先進国に対して化石燃料企業に課税することを強く求めた
③課税で得た資金は気候変動の被害に苦しむ途上国支援に使うよう呼び掛けた

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は9月20日、ニューヨークで開催されている第77回国連総会で演説した。「化石燃料企業は、巨額の助成金で棚ぼた利益を享受している」と非難し、化石燃料産業への課税を訴えた。課税で得た資金で、気候変動で多大な被害に直面している途上国への支援を行うよう呼びかけた。(北村 佳代子)

グテーレス事務総長は、演説の中で、「化石燃料企業は、巨額の助成金で棚ぼた利益を享受している」と非難した。「私は今日、すべての富裕な先進国に対して、化石燃料企業の利益への課税を求める。そしてその資金は、気候危機がもたらした損失や損害に苦しむ国々や、食糧やエネルギー価格の上昇で苦しむ人々のために使われるべきだ」と述べた。

米ニューヨークタイムズ紙は、グテーレス事務総長の言葉を「これまでで最も力強いコメント」と紹介した。

「損失と損害という言葉は、丁寧な外交表現だが、気候危機の責任をほとんど負っていないにもかかわらずその影響を最も受けている貧しい国々への賠償を意味する」と報じた。

今年11月にエジプトで開催予定のCOP27(第27回気候変動枠組条約締約国会議)においても、この損失と損害に係る資金の問題は重要な争点だ。

同紙は、この事務総長の発言が、損失と損害への資金メカニズムに長年抵抗を示してきた欧米諸国との決着を示唆しているとも報じた。

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

オルタナ副編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部。

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キーワード: #SDGs#国連#気候変動

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