「気候変動の危機感伝えたい」、大学生がCOP27へ

記事のポイント


  1. エジプトで開くCOP27に行くため大学生がクラウドファンディングに挑戦
  2. 国際会議を取材し、「気候変動の危機感」を映像化して伝えることが狙いだ
  3. 目標金額は650万円、「気候変動の被害に苦しむ国の危機感を伝えたい」と主張

エジプトで開くCOP27(第27回気候変動枠組条約締約国会議、11月6日~18日)に参加するため日本の大学生がクラウドファンディングに挑戦している。現地で撮影し、ドキュメンタリーを製作することが狙いだ。大学生は「気候変動の被害者が持つ本当の意味での危機感を共有したい」と話す。(オルタナS編集長=池田 真隆)

気候危機を話し合うCOP27の様子を撮影する

このプロジェクトは環境活動を行う2人の大学生が立ち上げた。山本大貴さん(19)と中村涼夏さん(21)だ。省庁や自治体、企業向けに気候変動に関する講演活動を行う。

山本さんは台風被害を受けた地域にボランティアに行ったことで気候危機に関心を持つようになった。自然災害の脅威を目の当たりにし、それが人為的な活動により起こっていることに問題意識を持った。

中村さんの原体験は海洋汚染だ。鹿児島出身の中村さんは海の近くで育った。しかし、引っ越し先から見た海は黒く濁っていて、異臭を放っていた。この状況に衝撃を受けて、環境活動を始めるようになった。

二人はCOPが開かれるエジプトまでの渡航費など650万円を集めるプロジェクトをクラウドファンディングサイト「Readyfor」で立ち上げた。

パリ協定を生んだ「COP」の成果を問う

COP(Conference of the Parties)は、国際条約の締約国が物事を決定するための最高決定機関を指す。その一つに、気候変動に関するCOPがある。

第1回のCOPは1995年3月、ドイツ・ベルリンで開かれた。1997年12月には京都でCOP3を開催し、温室効果ガスの削減目標を定める「京都議定書」を採択した。

その後、京都議定書の後継として、「パリ協定」が生まれた。同協定は、2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組みで、2015年12月にフランス・パリで開かれた気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で採択された。

前回のCOP26は英国・グラスゴーで開催した。成果は、「グラスゴー気候合意」だ。この協定の特徴は、石炭火力発電の「段階的削減」を盛り込んだことだ。さらに、1.5℃目標を達成するために、COP27に向けて各国に削減目標を見直すよう求めた。

二人はCOP27を3つの切り口で取材したいと考える。一つ目は、COPの社会への影響だ。これまでCOPで話し合ってきた内容が社会にどのような影響を及ぼしたのか調べたいと言う。

二つ目は、今回のCOP27で決まった内容が世界をどう変えるのか予測することだ。前回のCOP26でパリ協定のルールが整理された。そこで、今後、世界各国に起きる変化を調べる。

最後は、「気候危機の解決」を問うことだ。「気候危機が解決した状態は見えていません。ですが、問題が起きたときにその危機感を共有できる社会になっていればいいなと思います」と話す。

二人は、気候危機を危機感を共有する機会と捉える。「単に温度上昇を食い止めること以上に、何かが犠牲になったり、抑圧されてしまうことへの問題意識を持ち、対話の中で社会をアップデートしていきたい」と話した。

クラウドファンディングに挑戦中のプロジェクトはこちら

https://www.youtube.com/watch?v=gSVnqY0EjHc
M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナS編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナS編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

執筆記事一覧
キーワード: #気候変動

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..