記事のポイント
- 環境省が気候変動アクション環境大臣表彰式を開催した
- 気候変動への「緩和」「適応」の視点から顕著な企業・団体を選考
- 先進的取り組みを行う5団体が気候変動アクション大賞を受賞した
環境省は12月5日、気候変動アクション環境大臣表彰式を開いた。気候変動への「緩和」「適応」に対し、顕著な功績があった個人や団体計26件を表彰した。最高位となる「気候変動アクション大賞」には、赤外線や紫外線を吸収するスプレー式のガラスコーティング技術を開発したフミン(福島県福島市)や、従来の技術を採用しながら省エネ性能の高い建築を普及する須山建設(静岡県浜松市)などが選ばれた。(オルタナ編集部)

■国立新美術館にも採用、遮熱スプレー
農業用・環境対策資材を製造、販売を行うフミンは「フミンコーティング」という省エネスプレーガラスコーティング技術を開発した。半導体に用いられる伝導性金属酸化物ATO(アンチモンドープ酸化スズ)が赤外線を吸収する特徴を利用した技術だ。
同社はこのナノサイズの金属をスプレーガンで窓ガラスにコーティングすることで、室内の遮熱、断熱を実現した。
一般的な黒の遮熱シートは室内温度の上昇は防ぐことができるものの、室内が暗くなるという課題があった。しかし、このコーティング技術は透過性が高く、日光を取り込むことができる。塗料の製造段階ではCO2をほとんど排出しない。国際特許を取得し、国立新美術館(東京・港)にも採用された。
■低コストのZEB化、地域にも広げる
須山建設は、真新しい省エネ技術を採用するのではなく、一般的に使われる断熱材や既成品のうち、省エネ機能が高い機器を使い、顧客に低コストでZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)を提供している。
須山が手掛ける建物10件がZEB認証を取得した。ZEB認証建物では、平均55%の一次消費エネルギーを削減できる。
また、ZEBを身近に感じてもらうための見学会や説明会を実施し、地域のZEB化に努める。
このほか、オイスカ浜松国際高等学校の美しい海岸作りや、熊本県立熊本農業高校が取り組む食品廃棄物の飼料化、廃棄される豚脂を活用した洗濯用石鹸開発などが受賞した。今後の若者の取り組みにも期待が高まる。
■「令和4年度気候変動アクション環境大臣表彰」受賞者
※大賞は団体名頭に【大賞】と記載、大賞以外は五十音順、以下同じ
◆開発・製品化部門
<緩和分野>
・【大賞】株式会社フミン
・株式会社 明電舎
・大成建設株式会社 技術センター
・東日本旅客鉄道株式会社
◆先進導入・積極実践部門
<緩和分野>
・【大賞】株式会社古湧園
・ 穴吹興産株式会社
・ エルクホームズ株式会社
・ 株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ
・ 東急不動産株式会社
・ 徳島バス株式会社・東亞合成株式会社(2社共同)
<緩和・適応分野>
・【大賞】大和ハウス工業株式会社
・ 株式会社宮城衛生環境公社
・ 株式会社明電舎、明電興産株式会社(2社共同)
◆普及・促進部門
<緩和分野>
・【大賞】須山建設株式会社
・ 株式会社ダイエー
・ 静岡県立浜松城北工業高等学校
・ 大和板紙株式会社
・ NPO法人活エネルギーアカデミー
<緩和・適応分野>
・【大賞】オイスカ浜松国際高等学校
・ 学校法人立命館 立命館中学校・高等学校
・ 株式会社 船橋総行
・ 株式会社LIXIL
・ 流山ゴーヤカーテン普及促進協議会
・ 南三陸少年少女自然調査隊
◆ユース・アワード
・ 熊本県立熊本農業高校 養豚プロジェクト
・ 真岡児童館