記事のポイント
- ESG情報開示研究会は44の事業会社、機関投資家にインタビューを実施
- 価値創造のプロセスについては評価されているが、レベルの二極化が進む
- 重要課題(マテリアリティ)に事業会社と機関投資家の「認識ギャップ」が
ESG情報開示研究会では44の事業会社、機関投資家に対してESG情報開示の現状に関わる個別インタビューを実施した。価値創造のプロセスについては評価されているが、レベルの二極化が進む。マテリアリティの特定に関しては、事業会社と機関投資家のコミュニケーションギャップが明らかになった。(一般社団法人ESG情報開示研究会 共同代表理事=増田 典生)
ESG情報開示研究会が個別インタビューを実施したのは、2年以上前の2020年秋頃だ。やや旧聞にはなるが今も現状は大きく変わっていないと思料するので、紹介したい。
■価値創造のプロセス:理解・評価が進むものの、レベルの二極化が
機関投資家に企業の長期的価値創造に関する開示について5段階評価で聞いた。その結果、「4:概ね優れている」「3:まあまあである」が54%と過半を占めた(5:海外先進企業に劣らず優れていると回答した投資家はなし)。
一方で、多くの投資家が、長期的価値創造を自分たちの言葉で語れる企業と語れない企業に二極化が進んでいるとも指摘している。企業側に対しては、投資家が、自社で示す長期的価値創造について理解しているか聞いたところ55%が「よく理解されている」と回答した。だが、42%が「あまり理解されていない」と回答している。
■マテリアリティ:事業会社と機関投資家のコミュニケーションギャップが散見される