記事のポイント
- 豚やイノシシの伝染病「アフリカ豚熱」の非発生地域が、日本と台湾だけに
- 日本でも各地の検疫所が豚肉製品の持ち込みには厳しい検疫体制を敷いている
- ただ、農水省は水際対策の変更を検討しておらず、日本上陸が危ぶまれる
アフリカ起源の家畜伝染病「アフリカ豚熱(ASF)」の感染がアジア全域に広がってきた。豚やイノシシの病気で、人には感染しないが、豚やイノシシが感染すると致死率が高く、感染が広がれば畜産業界は甚大な影響を受ける可能性がある。2023年2月現在、アジアでアフリカ豚熱が発生していないのは日本と台湾だけとなった。(北村佳代子)

アフリカ豚熱は、現在、日本で発生している豚熱(CSF)とは全く別の病気だ。2007年にアフリカからロシアや欧州の一部に広がりはじめ、アジアでも2018年の中国を皮切りに感染が広がった。有効なワクチンや治療法もないという。
2月9日にはシンガポール初の感染事例が確認され、アジアでアフリカ豚熱が発生していないのは日本と台湾だけとなった。
台湾は10日、シンガポールからの豚肉製品の持ち込み禁止を発表した。禁止品目は、ポークジャーキー(肉乾)、ソーセージ(香腸)、ハム(火腿)、ベーコン(臘肉)、豚肉ベースのインスタントラーメンや缶詰、バクテー(肉骨茶)の素などだ。
個人の海外旅行のお土産も例外ではない。違反時の罰金を最大100万台湾ドル(約400万円)に引き上げるなど、検疫体制を強化した。
■農水省「水際対策を変更することは検討していない」