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第2章: ESGの重要イシュー(課題)
2-2: 脱炭素への流れ
■ゲームチェンジャーとなったパリ協定
2015年12月、フランスが議長国を務めた国連気候変動枠組条約の第21回締約国会議(COP21)において、パリ協定が採択された。地球温暖化による世界の平均気温の上昇幅を、産業革命前に比べ「2℃よりも十分低く」保つために、温室効果ガスの排出量をなるべく早期に増加から減少へと転じ、21世紀後半には排出と吸収のバランスを取ることが、長期ビジョンとして明記された。
世界全体で排出と吸収を均衡させるとは、人間活動による排出を「実質ゼロ」、つまり「カーボンニュートラル」の状態にすることを意味し、脱炭素社会の実現が世界共通の長期目標となった。さらに協定では、「1.5℃に抑える努力」を追求することも併記された。
こうした長期の温度目標や排出ゼロ目標などは、京都議定書など従来の国際条約には盛り込まれていなかった。
したがって、脱炭素をゴールとして初めて明記したパリ協定は、世界全体の長期的な方向性を決定付けるとともに、あらゆる主体に取り組みを促し動機付ける力強いシグナルとなった。「カーボンを排出することは良くないことである」という価値観が、あらゆる経済活動のベースとなりつつある。
さらに忘れてはならないのは、パリ協定下で進む世界の脱炭素化の潮流は、ESG課題を重視するサステナブル投資の世界的な拡大によって、強力に後押しされているという点だ。
「パリ協定」は、事業会社だけではなく、持続的な事業経営を実現できる企業を見定めたいと考える投資家にとっても大きな意味を持つ。気候変動関連の開示情報は、極めて重要な判断材料となるからである。
*この続きは「サステナ経営検定(サステナブル経営/CSR検定)2級公式テキスト2023年版」に掲載しています。テキストのご購入はこちら