ロートレックと食で街を元気に――三菱地所・丸の内活性化策

河野シェフが「ロートレックカフェ」で提供する宮崎ハマユウポークのとろとろ煮、ジンジャー風味三色野菜のニョッキ

三菱地所は東京・丸の内地区の一段の活性化のために、芸術と食のイベントを10月に連続して行う。同地区にある三菱第一号館美術館で「トゥールーズ=ロートレック展」(2011年10月13日~12月25日)を開催。10月17日から30日まで美食家であった画家ロートレック(1864~1901)にちなみ、丸ビル内に「カフェロートレック」を臨時にオープンする。

トゥールズ・ロートレック展のポスター

カフェロートレックでは、丸の内地区に出店する有名シェフらのグループ「丸の内シェフズクラブ」のメンバーが交代で値段1000円のランチを提供。レストラン・モナリザの河野透氏は色鮮やかな三色野菜のニョッキを添えた宮崎ハマユウポークの煮込み料理をつくる。「フランスで修行中にロートレックのファンになった。私の故郷の宮崎食材とコラボできてうれしい」と、河野氏は6日に行われたオープニングイベントで語った。

また10月21、22日には「丸の内マルシェ」という野菜、スイーツなどの生産者の直売会が丸ビル一階のイベントスペースで開催される。また同月29、30日には東京藝術大学の有志による、仏作曲家ビゼーのカルメンのコンサートも同じ場所で行われる。

レストラン・モナリザの河野透シェフ

一連の取り組みは大人に食の知識を再確認してもらおうという三菱地所の「食育丸の内」プロジェクト、子どもに味覚と食の楽しさを知ってもらおうという「食の一週間」(10月24日~30日)とも連動している。また日本の農作物の名産を材料にするために、農漁業支援の側面もある。

丸の内、近隣の大手町、有楽町地区は90年代までは主にオフィスしかなく、休日には閑散としていた。三菱地所の活性化策を契機にして、今はショッピングや文化的なイベントを行う多彩な顔を持つ街に変貌した。さらに同社は社会貢献活動と、活性化策を結びつけている。街の活性化のために日本各地でさまざまな取り組みが行われている。三菱地所の複合的な取り組みによる成功は、そうした活性化策へさまざまなヒントを提供するかもしれない。(オルタナ編集部=石井孝明)

■食育丸の内のホームページ

 

 

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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