記事のポイント
- チョコレート調達の環境・人権対応、日本企業首位は不二製油G本社だった
- オリジナル・ビーンズなど5社が最高評価を獲得した
- 日本企業は児童労働の問題には積極的だが他の課題対応で遅れ
チョコレート調達の環境・人権対応を評価する「世界チョコレート成績表2023」がこのほど公表された。日本企業首位は不二製油グループ本社で、5段階評価中「3」だった。成績表の最高評価を獲得したのは、オリジナルビーンズなど5社だった。日本企業は児童労働の問題には積極的だが他の課題対応で遅れが見られるなど、総合評価で海外企業に遅れを取った。(オルタナ編集部・萩原 哲郎)
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「世界チョコレート成績表」は今回の調査で4回目となる。豪州の人権NGOのビー・スレイバリー・フリーが率いるプロジェクトが評価する。プロジェクトには大学や市民団体、コンサルタント会社などが協力した。
世界チョコレート成績表は6つの視点から、「緑」「黄」「オレンジ」「赤」「黒」の5段階で総合評価を行う。最高ランクの「緑」はオリジナル・ビーンズなど5社だった。
日本からは不二製油グループ本社、明治HD、伊藤忠商事、ロッテ、森永製菓、江崎グリコ、大東カカオ、小売のファミリーマートが参加。5段階中3番目の評価である「オレンジ」は、不二製油のほか明治HD、伊藤忠商事が獲得した。
日本企業は一定程度の改善が見られた。明治HDと伊藤忠商事は「トレーサビリティ・透明性」の個別評価で2番目に高いスコアをつけた。
成績表のプロジェクトに携わる国際人権NGOのビー・スレイバリー・フリーのファズ・キット代表は「ガーナの現地の話として、『日本企業は、カカオの品質だけではなく、カカオの生産方法にも注意を向けるようになった』という評価の声が聞かれる」と述べる。
しかし、総合評価では海外の企業に遅れをとる。日本企業は児童労働の問題に積極的に取り組むが、その他の課題への取り組みについての評価は改善しなかった。
サプライチェーンへのさらなるエンゲージメントや、森林破壊に対する方針の改善が期待される。
調査に回答した企業全体では、サプライヤーの改善計画を明確に促すような方針がある企業は半数未満にとどまった。
調査に協力した環境NGOのマイティー・アースや熱帯林行動ネットワークは成績表の結果から、児童労働の実態を把握するためにサプライチェーンの大部分を監視またはカバーしていく必要性や、生計維持所得では生計維持所得参照価格を計算して農家の収入を改善していくことなどを提言した。