■ブルガリが認証チョコレート
ブルガリは今年1月、フェアトレード認証チョコレートを発売した。ラグジュアリーブランドによる認証チョコレートは世界初だ。

日本のバレンタイン商戦において実現した世界初の取り組みは、日本でSDGsの関心が大きく高まっていることも背景にある。
ブランドによるフェアトレード導入は実は日本で加速している。昨年はポロ ラルフローレンがフェアトレード認証コットンタオルを発売し、その前にはトミーヒルフィガーが認証コットンのトートバッグをノベルティとして採用した。
フェアトレード原料は、かつては品質への不安なども指摘されていた。だが、フェアトレードのプレミアム(奨励金)を品質向上にも多く投じられてきたことでこの20年で大きく品質が向上した。こうしたハイブランドによる導入は、高い品質の証左にもなるだろう。
■美しい花に潜む人権リスク
日本は切り花の27%を中国やコロンビア、マレーシアなどから輸入している。花は世界的に「母の日」やバレンタインで需要が急増することから、その時期を中心に生産国側では過重労働やハラスメント、農薬による健康被害も指摘されている。

米国政府機関の調査では、花の生産過程でコロンビアや中国などで強制労働が、インドやメキシコでは児童労働が発生していることが分かった。
SPDCが2023年2月に発表した調査では、東アフリカの花農園におけるフェアトレード労働者は、その他の労働者に比べて高い賃金とより良い労働条件を得ていた。労働者の権利保護やジェンダー平等においてもより配慮された状況にあると示された。
フェアトレードは実は花も対象にしているが、日本ではなかなか手に入らないの実状だ。しかしドイツではバラ市場に占めるフェアトレード認証品の割合が3割を超えている。
国内花卉産業ではロスフラワーへの取組みなどが注目を集めているが、今後生産国も含めた取り組みも欧州に続いて進むのではないか。
■コーヒーの認証、10年で15%増
コーヒーは持続可能性のための自主基準(VSS)の活用が特に進んでいる産品の一つだ。国際フェアトレード認証やレインフォレスト・アライアンス認証、4Cなどが含まれる。2022年10 月のIISD(持続可能な開発のための国際研究所)のレポートによると、2019年のVSSによる生産は世界のコーヒーの総生産量の21-45%に上った。2008年から11年間で年平均成長率13-15%程で推移した形となる。
コーヒー産業は世界で約1億2500万人の雇用を生む。世界のコーヒー農園の84%は2ha以下の小規模農家であり、取引先への交渉力が限られる上に、気候変動の影響も受けやすい産品のため、人権・環境リスクが高い。
世界では大手企業でも取り組みが進む。2022年8月発行のGCP(グローバル・コーヒー・プラットフォーム)レポートによると、ネスレやキューリグなどの世界大手メーカー・小売8社のコーヒー調達のうち、第三者認証の原料割合は約49%にも上る。
約7%を企業の独自のプログラム(例:ネスプレッソのAAAプログラムなど)が占める。同レポートはコーヒー農家が生活所得を得られていないことをシステム上の課題とし、業界として喫緊で取り組むべきとも指摘した。