首長ら「脱原発首長会議」設立で合意――脱原発世界会議で

脱原発世界会議で発言する新潟県巻町の笹口孝明・元町長

横浜市のパシフィコ横浜で14日から開催された「脱原発世界会議」(同実行委員会主催)で、自治体首長やその経験者らが意見を交わすセッションが15日午後に開かれ、出席者らは「脱原発首長会議」の設立で意見が一致した。

「地域発・原発に頼らない社会のつくりかた」と題されたこの会議には、事故を起こした東京電力福島第一原発を抱える福島県から双葉町の井戸川克隆町長、南相馬市の桜井勝延市長が出席。井戸川町長は政府の事故収束宣言について「まだまだ危険で、大変な憤りを感じる」と語り、桜井市長も「私は乳搾りから始まった人間。百姓が百姓をできなくなったという現実を国会議員などはどう感じているのか」と政府などの対応を痛烈に批判した。

中部電力浜岡原発を擁する静岡県からは、牧之原市の西原茂樹市長が「浜岡原発の安全は担保できない。国が運転再開を許可する時は自治基本条例にもとづき住民投票で信を問う」と発言。また同湖西市の三上元市長は「今回の事故は日本の技術に信頼が置けないことを証明した」と語り、日本の原子力政策の在り方に疑問を呈した。

住民投票で原発誘致計画を退けた新潟県巻町の笹口孝明・元町長は「国策であっても住民に大きな影響があるならば発言する権利がある。原発が国策ならばもっと国民的な話し合いが行われていたはずで、もっと大きく議論し、この国から原発をなくすべき」と訴えた。

電力の大消費地である東京都からは上原公子・元国立市長が「都民は事故の加害者であり、被害者ともなった。原発について都民が必死になって考えなければ」と語り、2月9日まで行われている「原発都民投票」の実施を求める署名への協力を呼びかけた。同世田谷区の保坂展人区長は「少々高くても自然エネルギーの電気を買いたいという声を、電力消費地で高めていく必要がある」と語った。

脱原発世界会議は2日間で約1万2千人(主催者発表)が参加し、閉幕した。(オルタナ編集部=斉藤円華)2012年1月15日

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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