記事のポイント
- プラスチック条約策定のための政府間交渉の第2回会合が始まる
- これまで規制に消極的だと思われていた日本政府が、ライフサイクル全体の規制を強く目指す連合に参加
- 国際環境NGOグリーンピースが、日本の野心連合への参加を歓迎する一方、懸念も表明
プラスチック条約を策定するための政府間交渉の第2回会合(INC-2)が、フランス・パリで5月29日から始まった。開催に先立つ26日、同条約策定交渉に関する「高い野心をもつ連合:HAC」が開催したイベントに日本政府代表団も参加し、HACへの参加を表明した。これにより日本は、プラスチック汚染根絶に挑む強い姿勢を世界に示したが、INC-2でその本気度が試されることになる。(オルタナ編集委員・栗岡理子)
HACはプラスチック汚染根絶を目指す高い野心を持つ連合で、2022年に20ヶ国が加盟し発足した。現時点で日本を含め55の国・地域が参加。ノルウェー王国とルワンダ共和国が共同議長を務めている。
これまで日本は、できるだけ多くの国が参画することが大事であるとして、プラスチックの生産から廃棄物管理までライフサイクルの全ての段階において意欲的な対策を求めるHACとは一線を画していた。
そのため、このHAC参加の突然の表明に対し、国際環境NGO・グリーンピースは高く評価する一方、歓迎声明のなかで懸念も表明している。
「日本が国連環境計画に提出した意見書と、HACが求めているものには大きな差があります。例えば、HACでは、新品の素材だけで作られるバージンプラスチック生産に規制をかけることを明確に支持していますが、日本は生産規制には触れていません」(グリーンピース・ジャパン・政策渉外担当、小池宏隆さん)
提出した意見書とは、INC-2に向けて国連環境計画が各国に提出を求めたもので、日本も今年2月に提出した。多くの国が、汚染根絶のためには生産段階から規制をかけ、プラスチックそのものやプラスチックに含まれる化学物質にも規制をかけるべきだと主張するなか、日本は廃棄段階にのみ力を入れているように見えていた。
INC-2で日本はアジア太平洋地域の議論を主導する立場にある。プラスチック汚染を終わらせるため、日本が今後どう議論を牽引するか注目したい。プラスチックの国際条約の策定に向け、INCは2024年末までに全5回開かれる。