
国際環境NGO「コンサベーション・インターナショナル(CI)」は27日、元マイクロソフト会長のビル・ゲイツ氏が創設したビル&メリンダ・ゲイツ財団の寄付で農業の生産性や生態系の健全度、人間の幸福度などを測定する「地球診断システム」を開発し、アフリカで運用を始めると発表した。
「アフリカン・モニタリング・システム」と名付けられたこのシステムは人の健康や栄養状態、家計収入などを把握する家族スケールから、農場で使われる種子や肥料、収穫量などの区画スケール、水の供給量や土壌の状態などの景観スケール、そして農業開発の意思決定がなされる地域スケールまでの4段階でデータを標準化して収集。
ほぼリアルタイムで集めた情報をオープンソースとしてオンラインで提供し、途上国の農業や環境改善、政策決定に役立てる。ただし、まだ具体的な測定手法やサイトなどは公開されていない。
これまでは課題ごとにデータが散在していた状態で、これを解決する統合的なモニタリングシステムの基盤を今後3年間に1000万ドル(約8億円)の資金を投じて構築。10~15年をかけて完成させ順次アジア地域に展開、いずれは「地球の脈を測る」ようなグローバルツールに発展させていく計画だという。
ゲイツ氏は「貧しい農家が生産量を増やすことを効果的に進めるためには、より革新的で、調整がとれ、ターゲットがはっきりしたシステムがなければいけない」などとプロジェクトに対する期待を述べている。(オルタナ編集委員=関口威人)