サステナビリティ情報を経営戦略に活用するには

記事のポイント


  1. ISSB基準の公表によって、サステナ開示基準の統一化が大きく進んだ
  2. 今後は開示だけでなく、サステナ情報の戦略への活用が重要になる
  3. AGCは、事業ポートフォリオの方向性検討にサステナ情報を活用する

国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)がサステナビリティ開示基準を公表したことで、サステナビリティ情報に関する開示基準の統一化に向けた流れが確実なものになりました。今後企業には、サステナビリティ情報を開示するだけでなく、戦略への活用につなげていくことが求められます。(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家=遠藤 直見)

■ 2024年度中に日本版の開示基準公表へ

国際財務報告基準(IFRS)の策定を担う国際会計基準審議会(IASB)を傘下に持つIFRS財団は2021年11月、IASBと並列でISSBを設立しました。乱立気味だったサステナビリティ開示基準の統一化に取り組むことを表明しました。

それから1年半あまりを経た2023年6月26日、ISSBは「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的な要求事項(IFRS S1)」・「気候関連開示(IFRS S2)」を公表しました。

IFRS S1は、サステナビリティ情報開示の全体的指針です。企業が短期、中期、長期にわたって直面するサステナビリティ関連のリスクと機会について投資家とのコミュニケーションを図るべく設計されました。

IFRS S2は、サステナビリティ情報開示の中でも気候変動に特化した指針です。気候関連の具体的な開示を定め、IFRS S1との併用を前提としています。どちらも、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言を十分に取り入れたものになっています。

IFRS S1、S2(以下、ISSB基準)は、多くの国々の法定開示の要求事項に影響を与えることが予想できます。我が国では、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が、ISSB基準を踏まえ、日本版のサステナビリティ情報開示基準の策定を進めています。

2024年度中に確定基準を公表し、その後開始する事業年度(3月決算企業であれば2026年3月期)の有価証券報告書から早期適用が可能となる予定です。

■開示要請だけでなく、経営戦略として収集を

■ AGC、サステナビリティ情報を経営戦略に

■ サステナビリティ情報で経営戦略を高度化へ

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遠藤 直見(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家)

遠藤 直見(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家)

東北大学理学部数学科卒。NECでソフトウェア開発、品質企画・推進部門を経て、CSR/サステナビリティ推進業務全般を担当。国際社会経済研究所(NECのシンクタンク系グループ企業)の主幹研究員としてサステナビリティ経営の調査・研究に従事。現在はフリーランスのサステナビリティ経営研究家として「日本企業の持続可能な経営のあるべき姿」についての調査・研究に従事。オルタナ編集委員

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キーワード: #脱炭素

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